投稿

予備試験の試験期間中およびその前後の過ごし方について【予備試験直前期~終了後向け記事】

予備試験の試験前からの過ごし方も悩ましいところです。以下、参考までに過ごし方の一例を挙げておきます。 ◆短答式試験集中期間 いつからこの期間に入るのか悩ましい部分があります。ただ、注意喚起的に述べておくと、結構短答を軽く見ている方が多い気がします。 少なくとも、一度合格したことがある、または、予備校の短答模試(これ、直前期以外にも開催されています)で合格点以上を取ったことがない人は、遅くとも2か月前から集中した方が良いでしょう。3か月前から集中しても良いくらいです。 短答式というのは1年間でこなした量に比例します。この量に基づいて考えるなら、肢別または過去問パーフェクトを全問題2周&間違えた問題復習くらいが合格ラインだと思います。この量をこなせてない人は、素直に早い時期から短答に集中してください。 勉強法について詳しくは以下の記事を参照してください。 →記事 「短答で足切りされてしまった人へ」 ◆短答式試験期間 ◎試験前日 予備試験の短答は、1日で8科目(一般教養含む)もやるので、たとえ短答といえど大変です。 したがって、前日は早めに寝てください。 ただ、丸一日休まないとダメかというとそうでもありません。短答の勉強はそこまで体力を使わないので、前日も淡々とやっても次の日にはそこまでの影響はありません。 もっとも、早く寝てくださいという話は強調しておきます。 ◎試験当日 で、試験日当日ですが、休憩時間中も詰め込むことも選択肢です。 特に下四法は、条文や典型知識そのままの問題が出て、過去問なり、条文なりを見てたら、確実に解けるという問題が多いです。これは、上三法より少し難易度が低く、また、問題数も少ないのですが、練度が足りないので覚えきれないという感じになるからだと思います。このため、直前に見てもある程度効果があるということになるわけです。 実際、私自身、刑訴の棄却・却下あたりの問題を直前に見て、そのままの問題が出て助かったという経験があります。 もちろん、私は予備短答を受けたのは失権した後なので、上三法はよく勉強していたから相対的に下四法の勉強をしていなかったからと言う面もありますが、それでも上述の性質はやはりあると思っています。 したがって、下四法については、それぞれの時間の直前に見るのをオススメします。 ◎まとめ 要は、無理しない程度にですが、ぎりぎりまで

短答で足切りされてしまった人へ【短答合格発表期向け記事】

悔しいですね。 私は初回の本試験受験時に短答落ちした経験があります。「あんなに頑張ったのに論文の採点すらしてもらえない」と泣きながら友達に電話していました。当時26歳、大の大人がみっともなく泣きじゃくってしまいました。そのあとは自分のふがいなさに落ち込みっぱなしでした。非常に恥ずかしかったので、大半の人には落ちた事実は内緒にしてました。 受験4回目のときに短答落ちしてしまった友人もいます。その時の彼の気持ちを想像すると辛くなります(ただ、その彼はいまでは弁護士です)。 ですが、前を向くしかありません。そして、あなたは他の受験生より有利です。なぜなら他の受験生が論文合格発表まで勉強に身が入らない中、先行して再スタートを切れるからです。3か月ちょっとの差は約100日、1日の勉強時間を10時間だとすれば、1000時間のアドバンテージになります。圧倒的です。 そして、そのアドバンテージを最大限活用するために、自分の敗因を分析しましょう。私の経験と個別指導の生徒からの聞き取りから検討したものですが、一般に敗因となるのは以下の3つです。 1.量が足りていない 短答の成績は基本的にその1年間にこなした量に左右されます。そして、合格したときと同じ量をこなせば基本的に再び落ちるということはありません。 たとえば私は、2回目の受験のときに短答パーフェクトを2周と半分(間違えた問題のみの復習のこと)を解いて受かりました。その後、少し量を減らして(というか勉強がうまく進まず減ってしまって)1周半しか解けなかった年にも受かりました。その後、基本的には1周半解いていましたが、一度も短答に落ちていません。 そして、短答を解いた量と成績は比例します。最後の年に改めて2周半しましたが、それまでは110〜120点代をさまよっていたのが、140点を超えました(ただ、これは直前期に詰めて解いてたのも影響してると思います)。 2.網羅性が足りていない 次に重視したいのは過去問の網羅性です。 たまに数年分だけ過去問を遡るとか、正答率の高い問題だけという形で問題数を絞って解く方がいます。が、あまり成績が振るっていないように思います。それは当然で、その遡った年度より昔の過去問が出た場合、または、過去問には出たけど正答率の低かった問題が再度出た場合、網羅的に解いていた人は知っている問題でも、そうでない人は知らないわ

予備試験における短答と論文の勉強のバランスについて

予備試験の勉強ですが、短答と論文の勉強のバランスで悩まれている方が多いので、記事で一案を挙げたいと思います。 今年の予備試験短答式試験に落ちてしまった人 の参考にもなると思います。 ◎論文の基礎は先に学ぶ たしかに短答は足切りなわけですが、いきなり解いても効率が悪いです。理由については以下の記事をご覧下さい。幹と枝葉の関係というワードで解説しています。 →記事 「短答で足切りされてしまった人へ」 加えて、たとえ短答に集中したとしても、結局論文は突破出来ないので、この点からも最低限の論文の基礎は身につけておかなければなりません。 以上を踏まえると、8科目のインプット講座等を一通り終え、予備校問題集を一通り解いた後に、短答に着手するという流れが良いと思います。 どうしても焦ってしまう場合は、予備校問題集と併行して進めても構いません。ただ、短答に使う時間は抑制的にしてください。 ◎予備試験の短答式試験は甘くない 以上のように、論文の基礎を身につけることを優先してほしいわけですが、といっても、それを優先すれば短答も出来るというわけではありません。単に効率が悪いので先に論文の基礎を身につけた方が良いですよと言うだけです。 これは強調したいのですが、 「短答は甘くない」 です。もう一度言いますが、 「短答は甘くない」 です。大事なことなので2回言いました。 まず、倍率が高いです。加えて、短答試験日と論文試験日が分かれているので、予備試験受験生は短答式試験に全力を注いできます。必然、全体のレベルが高くなります。 そして何よりも、復権を目指している人以外は初学者の方が多いと思います。普通の密度で1~2年勉強しても合格は難しいです。高い密度と必死さが必要になります。 ◎短答着手後は、短答を優先で 以上の予備試験の短答式試験の難しさを踏まえると、短答着手後は、合格水準に達するまでは短答を優先して勉強した方が良いでしょう。 優先とは、具体的にいうと、1日の勉強で、短答式試験のノルマを終えた後、残った時間で論文の勉強をするという流れで予定を立て、実施することです。 残った時間での論文の勉強は、論証集の通読や、週1の答案作成等になるでしょう。 もちろん、合格水準に達した後(実際に合格するか、後述の予備校模試で合格水準に達した後)は、勉強の比重を下げても構いません。 ◎解く量の最低ライン 1日

司法試験の試験期間中およびその前後の過ごし方について【司法試験直前期~終了後向け記事】

司法試験の直前期からの過ごし方はなかなかに悩ましいです。以下、参考までに過ごし方の一例を挙げておきます。 ◆試験期間前 ◎2か月前のあたり ∇体調管理 このあたりから、勉強の量を抑制して、体調管理を優先させてください。たとえば、この時期に風邪を引いて三日寝込むとします。3÷60=5%以上勉強期間が失われるわけです。試験が近づけば近づくほど損失は大きくなります。 ∇答案作成は続けるべきか ゼミ等での答案作成を続けるかは悩みどころです。後述のとおり、抜けている知識をカバーすることが必要になってきます。要は、インプット重視した方が良いよと言う話で、逆にアウトプットは削り始める時期かなと。 答案作成って、その準備や、復習等で一日終わってしまうので、結構重たいです。必然、ほかの勉強時間を削ってしまうわけですね。 しかも、書く能力は1~2か月で急激には伸びない一方、ちょっとサボってもそこまで急激には下がりません。書かないデメリットは、この時期に来るとそこまで大きくないわけです。 以上を踏まえて、悩みどころですが、2か月前まではまだ答案作成は続けても良いですが、週1くらいに抑えたほうがよいと思います。週2は多いかなと。 で、書かない場合は、書写がオススメです。筆力(これは2026年以降はタイピングスピードになるでしょうが)を落とさないためです。1日1頁でも、1答案(8頁)でも構いません。 ∇インプットは何をするか 書く時間を抑制したら何をするかですが、インプットを重視して勉強してください。基本的には復習です。過去問を読むだけとか、演習書を読むだけとかもありです。 ただ、基本書を読むのはオススメしません。ちょっと重たすぎるので(読めちゃう人もいますけど、あれは例外的な人たちです)。試験対策に向けた教材、たとえば、論証集、条文、過去問、演習書、予備校問題集、(取捨選択した)百選、予備校テキスト、くらいが候補になるでしょうか。 この候補の上で、何を順番に復習するかですが、優先順位が高いものからです。復習している最中に、予定はどんどん遅れていきます。これは当たり前です。計画というのは「順調に遅れる」ものなのです。なので、時間切れになったときに困らないように、優先順位が高いものからやっていくわけです。 個人的な優先順位は、上に書いた「論証集、条文、過去問、演習書、予備校問題集、(取捨選択し

直前期(試験1~2か月前)でテンパっちゃってる受験生へ【司法試験&予備試験論文式試験 試験直前期向け記事】

◎はじめに そんなにテンパらないでください。「出る前に負けることを考えるバカがいるかよ」と、故・アントニオ猪木氏も仰っています。 テンパる理由は、ほぼ100%「勉強が進んでいない」ということにあると思います。私が良く目にするの(ないし過去の自分)は、論点覚えていないとか、過去問やっていないとかです。 しかし、司法試験は、「これ知っていないと落ちる」という試験ではありません。もちろん、程度問題ではあるのですが、そのハードルは意外と低いのです。 もっとも、ある種の「思考の構え」みたいなのがないと、ただ漠然と膨大な問題群にぶち当たることになり、試験中に混乱してしまいます。 この「思考の構え」というのは、いわゆるリーガルマインドの最小構成要素、核心だと私は思っています。これさえあれば、一応闘うことはできるはずです。 ただ、勉強が全然進んでいなくて(これは勉強の方向性をミスってしまっているが故の場合もあります)、テンパっちゃっている人に抽象的な「思考の構え」とか話しても仕方ないと思います。 そこで、以下、具体的な勉強法について書きます。これをこなせば良いです。で、その上で、最後に補足的に「思考の構え」について解説していきます。「思考の構え」は理解していなくても、下記の勉強法をこなせばそれが身につきますので。 なお、以下に書くことぐらいはできてるよって人は、なんとなくテンパっているだけなので、自信を持って下さい。強いて言えば、「思考の構え」がないが故に、無限の勉強が必要だと思い込んでる可能性があります。以下の内容は多少はデトックスになると思います。ご参考程度に。 ◎司法試験に必要な最小限の教材 司法試験で必要な最小限のテキストは何かというと、1.過去問、2.論証集です。 1.過去問をみないと、本番の問題で、何を聞かれているのか、何を書けば良いのか分かりません。 2.司法試験は論点を聞いています。そのため、論証集をみないと、何を聞かれているのか、何を書けば良いのか、分かりません。 以上の二つを潰す必要があるわけですが、時間がないので、やり方にちょっとしたコツがいります。 ◎過去問をこなすコツ 過去問は解かなくて良いです。読むだけで良いです。 ・問題文をさらりと読む →模範解答またはA再現答案を読む →問題文をもう一度読む。このとき、問題文の事実のどの部分が解答に使われているのかを

司法修習の勉強についてのメモ書き的なもの【司法修習開始期向け記事】

司法修習の期間はどうやって勉強したらいいのか、これが結構悩みものです。別になんとなく過ごしても二回試験はなんとなく受かりますが、せっかくなので効率よく、ないしは充実して学びたいですよね。 そこで、私が考える司法修習の勉強法をお話します(一応この観点にたって勉強していました。成績はそんなに良くなかったですが苦笑、すごく充実していたなと思います)。もっとも、方法というほど明確なものではなく、勉強の感覚的なものの説明になります。一言で言うならどうやって手を抜くか、みたいな話です笑 第1 司法修習中の勉強方法 1 勉強内容の分類 司法修習で学ぶ(学べる)内容は、(1)要件事実・事実認定、(2)手続的知識、(3)実務での慣習・テクニック、の三つに分けることができます。 (1)  要件事実・事実認定 ア 要件事実 要件事実自体の知識は、司法試験で学んだものの延長です。類型は、紛争類型別で必要十分です。 事実摘示するときにどう書くか、なんてのも学びますが、これは枝葉の知識ですね。 で、要件事実はそれ自体の知識も大切ですが、事実認定の前提でもあります。要件事実的に整理した上で争いのある部分に事実認定が生じるわけです。 なお、刑事では要は構成要件の整理ですが、司法試験の時に案外整理されてないので、起案の時に混乱したりします(たとえば、強盗傷人・殺人の実行行為をぱっと言えますか?)。 当然、起案では構成要件の知識は必要とされますが、司法試験のときに不十分だった構成要件の知識をあらためて整理することが必要だったりします。 イ 事実認定 事実認定も、要件事実と並んで、起案の成績に直結します。そして、この事実認定には一定の方法・枠組みがあります。 たとえば、民事において、事実認定は4類型に分けられます。 第1類型 処分証書があり、成立の真正に争いがない場合 第2類型 処分証書があるが、成立の真正に争いがある場合 第3類型 処分証書はないが、供述証拠がある場合 第4類型 処分証書はなく、供述証拠もない場合 この類型ごとに主張立証の目標が変わります。 こういう感じで、枠組みを学び、適用をトレーニングしていくことになります。 この枠組み自体がまぁまぁ理解が難しいと同時に、それを適用できるようになるのもまぁまぁトレーニングが要ります。 ロースクール経由の人はローの授業で、予備経由の人は実務科目で一定

「合格者バイアス」について

合格者(合格前の優秀者含む)に勉強方法を教わるというのはとても重要なことです。合格するからには、合格する勉強方法を取っていたことになるわけですから。トートロジー感ありますが、結果で判断するというのは大切という話です。 ただ、その際、気をつけるべきことがあります。それは、「その人が強調してないけど重要だった勉強の要素」がある場合があるということです。 たとえば、私が相当優秀だなと感じていた方は、「基本書を読む」のが大切と言っていました。しかし、よくよく聞くと、「演習書を解き」まくっていました。 ほかには、予備校本を使うのは良くないとして、「ローの授業を重視」している方もいました。しかし、よくよく聞くと、自作の「論証集」をがっつり作っていました。予備校本を否定しつつ、論証パターンというザ・予備校の手法を採用していたわけです(ただ、まぁ、予備校本と論証パターンは違いはするので、矛盾はしていません。聞く側が予備校全般がダメだと勘違いしてしまうという問題です)。ちなみに、その方は、法学部出身だったこともポイントです。要は、ローの授業を重視できる基礎体力があったわけです(「自分はぜんぜんできない」という法学部出身者でも、基礎体力はある人がほとんどです)。 また、「論証集は要らない」という方もいましたが、よくよく聞くと「演習書を各科目2~3冊解い」ていました。これだけやれば論点網羅が可能です。 予備校重視で「論証パターンが重要」という方もいました。この方はそこまでギャップはありませんが、その論証パターンの数が、高い網羅性のあるレベルに達していました。あと、調べるべきことは基本書できっちり調べていました。 すごい量のまとめノートを作っている方もいました。試験前に全論点をまとめて受かったなんて人もいました。しかし、演習も過去問もすさまじい量をやっている人たちでした。やった上で余裕があるのでまとめノートを作っていたのですね。(もっとも、彼らがどうやってあの量のまとめノートを作りきったのかはいまだに謎ですが。民法とか、我妻栄先生の霊に手伝ってもらっていたのでしょうか) 合格体験記・体験談は、「基本書だけで足りる」「この演習書さえやればいい」「ローの授業が役立った」「重問死ぬほど回して受かった」「論証集に全部まとめた」等々の「これだけでいい」「これやらないとダメ」「これいらない」的な主観的

教材と勉強する順番(6) 高みを目指す人の教材

◆高みを目指す人の教材 司法試験合格には必要ないけど、読めば楽しいですよ、という教材です。基礎知識との関係で読めば理解には資すると思います。ただ、やはり高度なので、よっぽどの状況出ない限り取り組む必要はないです。 この記事は、受験に必要な教材を見極めるために整理しているという面もあります。以下の教材は読めば法学理解は当然深まりますが優先順位を間違えないでください。「法学」ではなく「受験勉強」を優先してください。 ◎基本書通読 読むと面白いのは間違いないです。私がはじめて通読したのは高橋刑法総論ですが、体系と論理の貫徹に感動しました。最近は潮見先生の書籍を参照したりします。論理的整理がされるとやはり知識は使いやすくなりますね。 ただ、100番台くらいで受かった知人がいますが、基本書は通読していないと言っていました。試験的には不要なわけです。もちろん普段から辞書的に用いるのは一般的に行なえば良いと思いますが、通読は不要です。 ◎調査官解説 調査官解説を読んでいる人はいました。百選と調査官解説どっちがいいんだとかの議論もありましたね。判例の判断の前提として何が考えられていたのかが書かれていて判例の理解は深まります。ただ、試験では判旨を使う訳なので、やはり必要性は高くありません。 ◎学術論文 読んでいる受験生はいました。ついぞ受験中に読むことはありませんでしたが、いま読んだりします。最近だと刑法における一連の行為の論文とか読みました。楽しいですよ。学者すごいってなります。よくこんなこと思いつくなとか。ただ、やはり試験にはここまでは不要です。 ◎重判 これは法学と言うより、短答で高得点を目指す人用です。受験的目的がありますね。ただ完全に論点予測です。外れることも多いですし、ここまでやらなくても受かります。 また、論文用としては少々非効率だと思います。重判を知っていないと解けない問題というのは基本的に出ません。 ◎大部の判例集 数百判例以上載っているやつですね。短答潰しといえなくもないですが、やはりやらなくても受かります。 ◎判決直読み これはもう研究に片足突っ込んでますね。普通は判旨部分しか読まないでしょうが、全体を通して読むことで論理展開や、基本的な価値判断が読み取れます。ただ、やらなくても受かります。 ◆最後に 長かったですが、全教材の整理が済みました。この6つめの記事は

教材と勉強する順番(5) 可及的教材

◆可及的教材 できればやった方が良い教材です。といっても、やらなくていいわけではありません。特に過去問は必須です。 なぜ「可及的」と名付けたかというと、 1.これらの教材をやらないとダメだと設定すると、実践演習が疎かになってしまう可能性があること 2.実際、これらの教材は、その一部をやってなくても受かる人がいること の2点が理由です。 やった方が良い理由は、それぞれの教材で異なります。事案処理方法理解、論証理解、論点潰し、などなど。 実践演習と教材がかぶっている部分があります。これは本来、全部実践演習で取り組めれば良いのですが、解いて書くというのは結構時間が掛かるので、効率化の観点から読むだけでよいとしたものです。実践演習と可及的教材の通読を同時並行でやるということです。読むだけでも意義があります。 なお、このあたりから教材の内容の難易度が上がってきます。分からなくてもめげずに繰り返し読むという努力が必要になってきます。 ◎予備試験過去問潰し(予備試験受験生向け) ∇過去問潰しの進め方 後述の通り、過去問独特の傾向があること(本試験ほどではないですが)、過去に出た問題はまた出ることから、潰す必要はあります。 実践演習として解く・書くことに取り組むべきですが、この方法では全科目全年度潰すのに結構時間がかかります。 そこで、最低限目を通すだけというこなし方も考えられます。上記傾向の理解、過去に出た論点の網羅等は目を通すだけでも可能です。演習以外で、こうした目的で使うことについて可及的教材として位置づけています。 ∇演習書との優先関係 可及的教材の優先順位についてですが、予備受験生は、演習書より過去問を優先させてください。予備試験過去問は予備校問題集を終わった段階でも全く解けないというレベルではありません。なら、やはり過去問を全年度潰すことが優先されます。 ただ、予備試験過去問を潰していても、あまり解き方がピンとこないなら演習書を読むのを先行させるのも良いと思います。ピンとこないのは大抵何かが欠けている場合です。解き方の理解、規範の理解、知らない論点、基礎的な概念の理解、等々。定評のある演習書は、一般的な受験生が見落としている思考の隙間部分を埋めてくれるような記載がなされています。だからこそ人気なわけです。 ∇過去問の癖をつかむ 以上の一般的な難易度の話とは別に、過去問を

教材と勉強する順番(4) 続・必須教材

◆続・必須:7科目以外いつ始めるの問題 要件事実、その他実務科目に出る問題(事実認定・手続)、選択科目はいつ勉強始めるの、どう勉強するの、という話です。始めるタイミングについては、 前の記事 の最後の部分を読んでください。実践演習開始と同時または少し後くらいでよいと思います。以下では、どう勉強したら良いですか、という点を書いていこうと思います。 ◎要件事実 何はともあれ『改訂 新問題研究 要件事実』を読んでください。要件事実の基礎が高密度で詰まっています。 予備受験生は、この次は『4訂 紛争類型別の要件事実』を読んでください。これは本試験だと知識として過剰ですが、予備試験は類型別にしか載っていない(=新問研に載っていない)知識が聞かれます。 ロースクール生(本試験受験生で予備を経由していない人)は読むかどうかはお任せします。ただ、ローの授業で普通に必要になると思います。 補足しておくと、紛争類型別は極限まで記述を圧縮しているので、結構読みにくいです。副読本として岡口基一裁判官の要件事実の薄めの本とかを読むのもありです。紛争類型別は知識が過不足ない、まさに必要十分なので、ある種のまとめ本として位置づけられます。 なお、辞書としては同じく岡口基一裁判官の『要件事実マニュアル1・2』がおすすめです。請求原因・抗弁等、非常に明瞭に書いています。 ◎その他実務科目(事実認定・手続) 基本的に予備受験生が勉強する科目です。ただ、ロースクールでも授業として組み込まれているので普通に勉強することになると思います。 まず事実認定についてインプットテキストを一通り読んでください。インプットテキストとしては、民事は『ステップアップ民事事実認定』、刑事は『刑事事実認定入門』がおすすめです。 予備受験生は、その次は、予備試験実務科目の過去問に着手してください。「え、手続の勉強は?」という疑問が生じるかもしれませんが、手続の問題は基本的に過去問で尽くされています。改めてインプットテキストを読むより、過去問を潰した方が効率的だと思います。 いきなり過去問で大丈夫ですかと思われるかもしれませんが、大丈夫です。事実認定が最近難しくなりつつありますが、基本的に手も足も出ないような難問はでません。予備校問題集代わりに使えます。 このとき、民事実務科目の過去問には当然要件事実の問題も含まれますので、要件事

教材と勉強する順番(3) 実践演習

◆実践演習 この段階から、本格的な演習が始まります。要は問題を解いてみる、答案を書いてみるという段階です。演習は、解く練習・書く練習という技術を身につけるという要素が強いです。知識との関係で言えば、基礎知識の応用・適用=使い方の練習の段階です。 もちろん、演習の過程で新しい知識を知ることもありますが、それはこの段階では付随的要素です。(「可及的教材」とも関わりますが、これは後述します。) ◎論文 ∇目的 上記のとおり、解く練習・書く練習が目的です。この問題は何の問題なのか(問題発見)、どう処理すれば良いのか(問題解決)、どう書けば良いのか(答案作成)を考える練習です。 このとき、当然知識との照らし合わせをするわけですが、 前の投稿 で説明したとおり、もう一つの重要な要素として、「解き方」(「 事案処理方法 」)について考えるという点があります。事案処理方法と知識の照らし合わせて正しい論点にたどり着くというのが問題文の解き方になります。 書き方は基本的に三段論法ですね。これも練習しないと上手く書けません。 要は、やみくもに解くのではなく、解き方・書き方の「型」を意識しながら解いてほしいという話です。この観点がないと、いつまでたっても悪い意味での「論点ぺたり答案」「金太郎あめ答案」から抜け出せません。 ∇注意点:完璧主義は止める 演習するにあたって、「論証を覚えてから~」とか「本番と同じく時間を計らないと~」とかやたらと前提を付けてしまう人がいます。はっきりいって不要です。 論証集を見ながら解いても良いです。むしろ模範答案等を見た上で、改めて解く・書くとかでもいいです。時間を計っても良いですし、測らなくても良いです。初期の頃は時間測ってもどうぜ時間内に解けません。 演習の目的は何かを考えてください。解き方・書き方の練習です。論証集を見ようが見まいが、時間を計ろうが測るまいが、この練習は可能なのです。論証集は試験直前に見返せば良いですし、解き方・書き方を身につければ、自然と時間は短くなります。 自らハードルを設けて、演習を後回しにするというのは止めてください。 ∇具体的やり方 自分の状況と演習教材のレベルに合せて、3つの方法があります。 1. なにもみずに解けるなら、そのまま解いてください。 2. なんの論点かぐらいは分かるが何も見ずに解くのはきついレベルなら、論証集をみ

教材と勉強する順番(2) 必須教材

◆必須教材 必須教材というのは、さすがにこれをやっていないと受からない、演習を行なうことができないというレベルのものです。要は、必要最低限の知識・技術を得るための教材です。 ただ、勉強の進度・環境によっては不要な場合があります。この点についての判断は、後述の「必須教材は万人に必須か」の項目を読んでください。 ◎入門書 なにはともあれ最初は入門書がよいでしょう。概説書や予備校本等の初学者向けの本とはいえ、いきなり読みこなすのは困難です。法学は体系的学問ですから、大枠を理解してから徐々に深めていくのが良いです。 私がオススメするのは『伊藤真の●●法入門』です。「伊藤真の法律入門シリーズ」というやつですね。 ◎基本知識のインプット 次は基本知識のインプットをすることになります。教材は、ざっくりと一通りの基本知識を得られれば何でも良いです。 予備校の講座を受けるなら基礎マスでも総合講義でも良いです。他の予備校のでも良いです。もちろん、ロースクールの授業とかでも良いです。違いとしては一気に勉強できるのか、週1で少しずつ勉強していくのかの違いです。それぞれに学習効果があるようです。 もう一つの違いとしては、予習の要否ですね。ロースクールの授業は予習が必須なので、全くの初学者がそれでインプットしていくというのは若干ニーズに合ってないかも知れません。まずは予備校講座で一通りインプットしてから、ロースクールの授業に臨むというのも一つの方法です。 また、予備校本(呉基礎本、シケタイ、C-BOOK等)を利用するという方法もあります。予備校やローに行っていない人は、ざっと読んでください。ロースクールの授業の前に予備校講座を受けるという方法を挙げましたが、講座の代わりに予備校本を読むというのもありです。予備校本はかなり分かりやすく書かれています。 ただ、初学者の頃は人の説明(講座・授業)を聞く方がよいと一般的に思っています。行間といいますか、理解に必要な補足をしてくれるのでやはり人に説明してもらう方が分かりやすいのですよね。もちろん説明がいまいちな先生もいますが。 なお、読書が得意な人は概説書(非・体系書、比較的薄め)を一通り読むのでも良いです。ただ、概説書は予備校本に比して論点の強調が弱いので、次の予備校問題集には繋げにくいかも知れません(もっとも、これも読書が得意な人=論理の把握が得意な

教材と勉強する順番(1) 考え方のポイント【新年度開始期向け記事】

私の受験生時代もそうですし、個別指導してて思うのですが、何をどういう順番で勉強するのか、どこまで勉強しないとダメなのか、というのは割と悩ましい話かなと。 そこで、6つの記事に分けて、考え方のポイントと、実際の順番を解説していこうと思います。今回の記事は考え方のポイントについてです。 ◆考え方のポイント ◎受験的観点から 勉強のポイントは、「司法試験合格のために必要な知識・技術を身に着ける」ことにあります。 必要な知識・技術は、整理すると、体系的知識、問題発見能力、問題解決能力、答案作成能力の四つです。基本知識に基づいて、論点・争点に気付き、三段論法で解決し、答案を書くという話です。あと、過去問の独特の形式に慣れるというのもあります。 これらを身につけないとダメなわけですが、よくあるのは、答案作成能力を身につけていない(答案を書いていない)とかですね。これらの技術・知識を身につけられるよう教材・勉強内容を整理する必要があります。換言すると「網羅すべき勉強」を「網羅していない」と合格が難しくなってくるということです。 ◎優先順位 受験的観点の続きですが、試験には期限があります。無限に時間があるわけではありません。そこで、優先順位を付ける必要があります。 上の四能力を最低限身につけるための必須教材、必須ではないが合格率をより高めるためにできればやった方が良い教材等の感じで優先順位を付けることができます。次回以降の記事で具体的に書いています。 ◎受験勉強から法学へ といっても、受験受験しすぎると、勉強つまらなくなっちゃうんですよね。また、実際、深い学的理解が知識の整理に役立つこともあります。要は理解等が簡易になるので、間接的に点数に結びつくこともあるかなと。なので、優先順位をつけつつ、法学的勉強も排除しないというのが良いと思います。 ですが、受験的基礎がないとその膨大さにやられます。まずは受験勉強することがおすすめです。順番と積み重ねが大事です。 ◎補足:いまの自分に必要な勉強について考えるコツ 本記事では勉強の順番を解説していますが、そもそも読んでくださっている方にフィットするかどうかは別問題です。そこで補足的に、いま自身に必要な勉強は何かを考えるコツを書いておきます。 「1週間続けてみて、テストの点数があがるか」というのを判断基準として挙げたいと思います。 たとえば、初

司法試験は機械的に解けるか?

最近、個別指導内でこのテーマに言及することが多かったので、説明事項をまとめてみました。 1.「金太郎あめ答案」「自動販売機型答案」批判の功罪 司法試験制度改革の起源の一つに予備校潰しがある。 曰く、明後日の方向の論点について論証パターンを貼り付ける、または事案の特殊性もなにも踏まえない答案が多い、それは予備校が原因である、と。 いわゆる「金太郎あめ答案」「自動販売機型答案」に対する批判である(なお、別に予備校は金太郎あめ答案を書けなんて教育していないと思う)。 これらに対する対策として、「答案の書き方を教えない」とか、「過去問を解説しない」という方向がロースクールで取られているように思う。「金太郎あめ答案」を発生させないために、方法論的な内容を一般的に教えることを避ける傾向にあるのではないかと。「マニュアル化」される危険性をできる限り避けているということである。 確かに演習書(学者作成の問題集)を利用した授業もあるし、準制度的に弁護士の講師が過去問ゼミを開いていたりもするので、解き方の類いを全く教えていないわけではないが、やはり断片的である。 この結果、そもそも書き方・解き方(特に解き方)が分からないというロースクール生が出てくる。 守破離ともいうし、とりあえずは書き方・解き方の「型」を教えないとどうしようもないと思うのだが、それが行なわれていないという状況がよく見受けられる。これは「金太郎あめ答案フォビア」が合理性を失わせているためではないかと推測している。旧試での出来事(「この先生の説を書けば良い」とか)をみるとそうなるのも無理はないとも思うが、にしてもちょっと極端だろう。 2.「司法試験はパズルである」 一度曲がった鉄の棒をまっすぐに戻そうとすると、曲がっている方向と反対方向に思いっきり力を込めて曲げようとすることが必要だと思う。そこで、「司法試験はパズルである」というテーゼを提唱したい。 司法試験の問題文は、要件に当てはめる事実のブロックパズルとなっている。要件ごとに整理できるのが論点であるが、その論点に関する事実もブロックとして載っている。そのブロックを要件・論点の各項目に放り込んでいくことが答案作成の方法である。そして、これは、問題文の読み方にも直結する。(なお、行政、民訴、刑訴はブロックにはなっているのだが、使わない事実も結構載っているので、使えるブロ

刑事訴訟法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・決まった問題しか出ない。論点数も少なく、網羅しようと思わなくても、いつの間にか網羅している。 ・ただし、規範の考慮要素まで分かっていないと書き負ける。上述の整理が必要。 ・なお、学説問題が最近出ているが、論証集に載っている学説(ないし論点についての学説)で足りる。 (補足) ・捜査の論点は、時系列に並べると実際の問題で論点に気づきやすい。たとえば、令状の提示の諸論点。 ◎使用テキスト 【必須】 ・論証集 ・条文(見出しがないので要チェック。ただし、論証・答案で引用されているものでよい) 【可及的】 ・事例演習刑事訴訟法(古江本) →深い理解のため。論証集に掲載されている内容を完全に理解できる ・判例百選 →論証集=規範の先、事案・あてはめを知るため。ただ、判例解説を読まないと理解できないので、事例演習を先にやるのも良し。

刑事訴訟法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎総論 刑訴の問題は、問題文に雑多な事実も比較的多めに含まれています。で、その中からあてはめに使う事実を探していくというのが基本的な構えになります。上3法ほどきれいに問題文をブロックで切り分けられるわけではありません。 そして、使う事実としても、強制捜査・任意捜査とかは、いくつかの事実をピックアップし、その総合考慮で結論を出すことになるわけです。 とすると、問題文を、大枠の流れが分かるように、ある程度整理するというのが基本的な読み方になります。この大枠の整理に資するよう、線引きする感じになります。 ◎整理の方法 ∇線引きの方法 捜査は基本的に時系列で進展していきます。とすると、大きな時的区切りとして、以下の3つがありますので、これらに赤線を引くことになります。 1.令状発布 2.令状による捜査(逮捕、捜索・差押え) 3.起訴 逆に言えば、ほかの諸捜査行為・事情は緑で線を引いたり、囲ったりすることになります。 ∇設問を意識 もちろん、設問で違法性を検討せよと明示されている、問題文中で事前に線が引かれている捜査行為にも赤線を引きます。これも区切りに役立ちます。 ◎当てはめ事実のピックアップ 上記の手法で問題文を読みやすくした上で、当てはめ事実をピックアップすることになります。このピックアップのためには、事前に規範の考慮要素を整理しておくことが必要です。問題文を読んだその場で使う事実だと見抜くものではありません。 たとえば、任意捜査は、①必要性、②緊急性、③相当性ですが、①はさらに、a犯罪の重大性、b嫌疑の程度、c手段の非代替性に別れ、②緊急性は時的な非代替性を書きます。 こんなもの、その場で思いつくことはできません。 逆に、こういう規範の先の考慮要素が分かっていると、雑多な事実のなかでどの要素をピックアップすべきか明確に分かるようになります。すなわち、この点での読み方のコツは、規範の先の考慮要素を事前に整理しておく、という話になります。

刑事訴訟法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆刑事訴訟法の事案処理方法 ◎事案処理方法のコツ ・刑訴の事案処理方法のポイントは、あてはめをどうするかを整理しておくことにある。何の論点かで迷うことはほぼない(訴因変更の要否と可否等はあるが)。 →しかし、どういうあてはめをするのかを整理しておかないと、他の受験生もそれなりに書けるので書き負けてしまう。結果、なかなかAを取れないという事態に。 ・整理の難しさは2パターン  ①論証の先のあてはめの考慮要素や事案の特殊性への対応が難しい。  →事前に整理しておく必要がある。  ②論証が難しいので規範がなにを言っているか分からないときがある。分かっていないと、そもそも何を当てはめれば良いのかとかの方向性が分からなくなる。  →論証が何を言っているのか理解しておく必要がある。 ※①②について古江頼隆先生の『事例演習刑事訴訟法』がかなりの水準で整理・解説してくれています。超オススメ本。 ※百選の事案を知っていないと処理が難しい場合がある。百選の中でも一番優先度が高いのが刑訴だと思います。 ◎あてはめの考慮要素の例 ・強制捜査  →意思制圧or意思に反し…嫌と言っているor認識不可能  →重要な権利…どう重要か  →権利制約性(※簡単でよい) ・任意捜査 →必要性 ≫①嫌疑の程度 ≫②犯罪の重大性 ≫③手段の非代替性…どう非代替か →緊急性…今回の機会を逃したら、証拠収集困難 →相当性…①必要性・緊急性の程度と②権利侵害の程度の利益衡量 ◎(補足)刑訴に事案処理の難問はあるか ・他の科目と違って、事案処理方法の難問はない。規範・あてはめ考慮要素を細かく理解していけばかなりの水準に到達する。  ※強制捜査・任意捜査の事例以外は下方で整理。 ・ちょっと難しいのは2点。 ①捜査行為の抜き出し。たまに迷う。 ②伝聞はいつも難しい。伝聞自体が応用問題的。解き方は別紙参照。

刑法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・範囲が多いので論点網羅がかなり難しい。論点1~2個くらいは不知のままで対処するまたは書き落としてもいいくらいのスタンスで行く。 →刑法は全論点は必ずどこかの一要件に落とし込める。逆に言えば、一個論点知らなくても、そこの項目の点数がとれないだけ。致命傷にはならない。 →ただ、行為選択や罪選択を間違えるとごそっと落としてしまう。一定の知識と事案処理方法はやはり必要。 ◎使用テキスト 【必須】 ・論証集 【可及的】 ・ロープラクティス →学説理解のため ・刑法事例演習教材 →論点網羅のため ・百選 →最新判例のチェック

刑法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎問題文への書き込み ・上記のとおり、実行行為に赤線を引く。 ・論点ごと・要件該当事実ごとにブロックで分けられる。緑で囲う。 ◎答案構成用紙の使い方 ・抜き出した行為を時系列に並べていく。  →答案を書くときは時系列でも結果に近い順でもどちらでもよい。パズル的に整理できたなら後は先に書くか後に書くかの違いにしかならない。 ・複数行為者がいる場合は横に並べる。  →正当防衛系が検討しやすくなる。  →共犯も検討しやすくなる(※別紙参照)

刑法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆刑法の事案処理方法 ◎大枠をきれいに整理する ・刑法は、大枠が一番大事。 <大枠① 行為の整理> ・行為の整理=どの行為を実行行為とするか、が大切 ・刑法は実行行為がすべての検討の起点になる。行為をうまく整理できないと、正しい検討ができない。 ※実行行為を選び、赤線を引くと事案が整理しやすい(後述「問題文の読み方」)。構成だけの問題ではない。 ・論点知識だけでは判断に迷うことがある。独自の思考方法が必要。 →考え方の基本は、「結果に近い行為から考える」。∵実行行為性や因果性が認められやすいから。 →難しいのは「一連の行為」を切るか切らないか。応用問題なので後述。 →行為の整理は、当然、共犯の検討にも影響する。 <大枠② 要件の整理> ・刑法はカチカチ書く。Cf.修習で書くことになる、検察官の終局処分起案と似た書き方になる。 <例> 1.検討する行為の適示 (1)要件→規範→あてはめ (2)要件→規範→あてはめ (3)… (4)結論(罪の成立・不成立) ・要件を完璧に整理する。フォルダの第一段階。 ・論点はかならずどこかの一要件に落とし込める。論証を完璧に整理しておき、その整理に沿って書く。 →共犯論と財産犯も整理が難しいが、整理しきっておく。別紙参照 ・問題文はブロックパズルになっている。要件にあてはめる事実がブロックごとに分けられる。そして、要件にパズルピースを入れ込んでく。 ・規範の内容、あてはめで適示すべきものは論証パターンを単に見るだけでは分からない。分析・理解が必要。この点でも論点整理をしておく意味がある。

民事訴訟法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)   ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・以上のとおり解き方はあるが、民訴は最も論点の網羅性が必要な科目。知っておかないとダメな問題を知らない場合は基本解けない。ただし、知らなくていい問題もあることに注意。線引きは論証集記載か否かが基本。 ◎使用テキスト ∇必須 ・論証集(※自分はアガルートを使っていました) ・条文(論証・答案で引用されている条文) ≫アガルート論証集利用者への補足 ・定義・趣旨等について →「一行問題」対策のページがなくなってしまったようです(いまどうなっているかは確認していません)。既判力とか定義・趣旨等を整理してくれていて良かったのですが…。基本事項の定義・趣旨等は自分で補充しておく必要がある。趣旨規範ハンドブックとかから抜粋しても良いかもしれません。 →補充する定義・趣旨は、概説書等の目次を参考にすると良いと思います。目次に「当事者能力」とか「訴えの変更」とか載っているわけですが、それらについての定義や要件を整理するという感じです。 ・ロープラクティスの「管轄」「当事者の確定」の問題 …アガルート論証集を使っている場合、管轄の論点、当事者の確定の学説が載っていないので、補充する。 ∇可及的 ・ロープラクティス →全体理解のため ・勅使河原和彦『読解 民事訴訟法』 →論証集で微妙に欠けている知識(ex.補助参加の利害関係のあてはめ等)を埋めてくれる ・判例百選

民事訴訟法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎段階・次元 事案処理方法でも述べましたが、民訴は段階・次元が重要です。そこで、それを切り分けるのに資する部分に赤線を引きます。具体的には ・請求(→訴訟物) ・訴えと判決(→訴訟の起点と終点) になります。 ◎訴訟物関連 ほかには、 ・実体法上の法律行為(→訴訟物の確定、要件事実の整理になる) には赤線を引きます。 ◎訴訟行為 そして、その他の訴訟行為は緑線です。訴訟行為重要じゃんという意見もあると思いますが、基本的にすべて訴訟行為なので、全部赤になってしまい、色分けの意味(問題文を整理する)がなくなってしまいますので。 ◎使える事実を探す ・憲民刑と商法は、問題文がほぼ完全にブロックパズルとなっており、使わない事実があまりありません。他方で、行政法・民訴・刑訴は、ストーリー的というか、使わない事実も掲載されています。 ・特に民訴は、理論・観念で考える部分が多く、網羅的に事実関係を使うことはなく、規範に当てはまる事実、論点に関わる事実をピックアップするという感じの読み方になります。

民事訴訟法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆民事訴訟法の事案処理方法の基礎 ◎聞かれている論点についての、訴訟の段階その他の次元の区別・理解 ▽訴訟の段階の区別・理解 ・段階をきちんと理解する。目次に目を通すとよい。 (具体例) ・訴訟提起⇒口頭弁論⇒証拠調べ⇒判決手続 ・請求⇒主張⇒証拠⇒判決 (注意点) ・複雑訴訟の場合も流れを把握。 ▽次元の区別・理解 ・たとえば、当事者能力と当事者適格は違う。そしてそれぞれの項目の論点の論証は、似ているようで全く違う。ex.代理人の論点の弁護士代理の原則は、当事者適格の論点の任意的訴訟担当には、趣旨を及ぼすしかない。 ・民訴は条文がなく、概念で整理されている。論パはその概念ごとにある。概念を比較したり、論パを分類したりしながら、知識を整理していくとよい。 ◎典型問題の解き方 ・類型としては、以下の2つがある。 ※私見で勝手に分類していますが、書き方が違う点に着目した分類です。 ∇類型①:定義型 Ex.処分権主義、弁論主義、既判力 ・定義 →原則規範(定義の敷衍) →もっとも、趣旨 →例外規範 →あてはめ(原則結論確認) →あてはめ(本件結論確認) ∇類型②:規範型 Ex.管轄、当事者の確定、訴えの利益、複数当事者訴訟 ・条文あるバージョン →条文 →趣旨 →規範 →あてはめ ・条文ないバージョン →問題提起 →規範定立理由 →規範 →あてはめ ※定義とかをいじるのではなく、規範をさっと立てて論じる形式になっている。条文に依拠せず規範を立てることを理解しておく。