予備試験の試験期間中およびその前後の過ごし方について【予備試験直前期~終了後向け記事】

予備試験の試験前からの過ごし方も悩ましいところです。以下、参考までに過ごし方の一例を挙げておきます。

◆短答式試験集中期間

いつからこの期間に入るのか悩ましい部分があります。ただ、注意喚起的に述べておくと、結構短答を軽く見ている方が多い気がします。

少なくとも、一度合格したことがある、または、予備校の短答模試(これ、直前期以外にも開催されています)で合格点以上を取ったことがない人は、遅くとも2か月前から集中した方が良いでしょう。3か月前から集中しても良いくらいです。

短答式というのは1年間でこなした量に比例します。この量に基づいて考えるなら、肢別または過去問パーフェクトを全問題2周&間違えた問題復習くらいが合格ラインだと思います。この量をこなせてない人は、素直に早い時期から短答に集中してください。

勉強法について詳しくは以下の記事を参照してください。

◆短答式試験期間

◎試験前日

予備試験の短答は、1日で8科目(一般教養含む)もやるので、たとえ短答といえど大変です。

したがって、前日は早めに寝てください。

ただ、丸一日休まないとダメかというとそうでもありません。短答の勉強はそこまで体力を使わないので、前日も淡々とやっても次の日にはそこまでの影響はありません。

もっとも、早く寝てくださいという話は強調しておきます。

◎試験当日

で、試験日当日ですが、休憩時間中も詰め込むことも選択肢です。

特に下四法は、条文や典型知識そのままの問題が出て、過去問なり、条文なりを見てたら、確実に解けるという問題が多いです。これは、上三法より少し難易度が低く、また、問題数も少ないのですが、練度が足りないので覚えきれないという感じになるからだと思います。このため、直前に見てもある程度効果があるということになるわけです。

実際、私自身、刑訴の棄却・却下あたりの問題を直前に見て、そのままの問題が出て助かったという経験があります。

もちろん、私は予備短答を受けたのは失権した後なので、上三法はよく勉強していたから相対的に下四法の勉強をしていなかったからと言う面もありますが、それでも上述の性質はやはりあると思っています。

したがって、下四法については、それぞれの時間の直前に見るのをオススメします。

◎まとめ

要は、無理しない程度にですが、ぎりぎりまで淡々と詰め込むと良いよ、という話です。

もちろん、参考までにという話で、この方法を採らなかったからと言って必ず落ちるわけではないことは述べておきます。休憩時間中は回復に努めるというのも戦略だと思います(実際そういう人もいます)。

なんにせよ、自分に合う方法を検討してください。

◆短答試験後、論文試験前

◎短答試験後はすぐに論文の勉強を再開してください

すぐそこに論文受験日が迫っています。終了日当日は休んでも良いですが、次の日にはとりあえず自己採点して、可能性が少しでもあるならすぐにでも論文の勉強を再開してください。

ちょっと気を抜いているとすぐ1週間経ちますが、論文試験日まで3か月程度だと思います。直前期は復習とかになると思うので、追加で何かをこなすなら、2か月半程度しかありません。1週間でも1割の時間を浪費することになります。

休みたくなる気持ちは分かりますが、ここはぐっとこらえて頑張りましょう。

◎勉強内容について

試験日2か月前~試験当日までの過ごし方は、司法試験とあまり変わりません。短答式の勉強が不要になるので、より論文に特化できるという変化があるだけです。以下の記事の当該期間の過ごし方を参考にしてください。

◆論文試験期間中

土日で連続して2日間の試験があるわけですが、前日と1日目が終わったときは、完全に休むことをオススメします。休憩時間も体力回復に努めて下さい。

上記引用の「司法試験の試験期間中…の過ごし方」の該当箇所でも述べていますが、予備試験は、司法試験と同じく、高強度かつ、前日に論証を見たからといって点数に直結するような試験ではありません。どれだけ膨大な問題群を高速で処理出来るかがポイントです。ベストコンディションで毎試験に臨めるようにしてください。

◆論文試験期間後、口述試験前

◎勉強内容

口述試験なんて、論文合格者の9割以上は受けたことがなく、イメージがついていません。予備校の模試もあるのですが、それが実施されるのは論文合格発表後です。したがって、手探りの状態で勉強を始めることになります。

もっとも、聞かれる内容は、民事実務科目と刑事実務科目と同じです。刑事はたまに学説がちょっと聞かれます。

勉強内容としては、
(1)予備試験の実務科目の過去問(事実認定問題は出ないので除いても良い)
(2)民法の要件事実教材(新問研、紛争類型別)
(3)民法、民訴、刑法、刑訴の条文通読(特に刑訴は手続の流れをつかんでおくことが大事)
(4)刑法の論証集(学説対策)
が基本になります。

予備校の模試に申し込むと、過去問冊子(過去に口述で聞かれた内容の再現が載っている)をもらえるので、
(5)過去問冊子を通読
することが加わります。まぁ、1回読んで、感じをつかむくらいで足ります。

なお、いまネットで検索すれば、口述試験がどんな感じか教えてくれるサイトがいくつか出てきます。それで情報収集すると良いかなと。

◎口述に挑むに当たっての心構えを作る

模試で事前のトレーニングを積んでほしいのですが、心構えの一番の核心は、「試験官の誘導には逆らわない」ということです。

たとえば私は以下のような経験をしました。
官「~~の条文の解釈ではどういう説をとりますか」
私「~と解釈するA説を取ります」
官「~というB説もあると思いますが」
私「はい、考え直しましてB説を取ります」
官「A説でも良いと思うのだけど」
私「いえ、B説を取りたいと思います」

君子豹変すとはこのことかという冗談は置いておいて、事例は極端なんですが、要は誘導っぽいのには逆らわないというのが大事だという話です。もう少し言うと、落ちるパターンは、基本的に、「試験官に変に逆らうこと」なんですよね。そうすると、逆に、試験官のいうことには従った方が良いのです。

口述は、落とす試験ではなくて、受からせる試験です。もちろん、引っかけ的な質問もされることはありますが、そのときは何でもいいから何か話して乗り切ってください。

口述も項目点で、1箇所詰まったくらいで落ちません。各科目60点が基準で、57点から63点で変動、合格点は2科目合計119点以上の場合だったと思います。

要は、変に逆らって変な方向に行ったり、詰まりすぎて最後の問題まで行かなかったりして、項目点を全部さらえないのがまずいのです。

才気煥発なみなさんがこういう戦略をとることには忌避感もあるでしょう。しかし、生殺与奪の権を試験官に握られているのです。素直に対応しましょう。合格してから訴状等の書面で暴れればいいのです。

◎論文試験合否発表後

ここで落ちた人は、改めて予備試験の勉強をやり直すことになります。敗因分析から始めると良いでしょう。

合格した人は、そのまま継続して口述試験の準備をしてください。

◆口述試験期間中

口述も、ベストコンディションで挑んでください。前日も1日目もよく寝てくださいという話です。

持ち物は、教材は当然として、座布団と飲み物くらいでしょうか。寒い時期の場合は、薄い膝掛けとカイロくらい持っていけば良いでしょう。模試のおまけに当日の持ち物セットの表みたいなのが付いていたと思います。

口述試験の会場は法務省の研修施設なのですが、
・体育館(午前組と午後組に分かれるので、受験者の半分が体育館で待ちます)
→「発射台」(20平米くらいの部屋です。6人くらい受験生がいて、全員同じ方向を向いて座らされます。ここまで手持ちの教材を見ることが出来ます。まぁ、ここでジタバタしても仕方ないので深呼吸とかして落ち着いた方が良いでしょうが)
→試験室(ビジネスホテルの部屋くらいの広さです。主査と副査がいて、こちら側のテーブルに六法が置かれています)
の順番で進んでいきます。

この体育館で待つのがだいぶ長いので、座布団を持っていった方が良いわけですね。

午前組と午後組に分かれるので、少なくとも施設内では昼食をとるタイミングはありません。外で食べることになります。伊藤塾の模試に登録していると、近隣に待機室を用意していて利用させてくれるので便利です。

ちなみに、服装は特に指定はありませんが(なかったと思います)、みんなスーツで来ます。無難にスーツ出来た方が良いでしょう。(一人だけ普段着で来ていた彼は合格したのでしょうか…)

ホテルまで取るかは悩みどころですね。私は取りませんでしたが、新浦安駅は遠いので(ディズニーランドの駅の隣です)、取るのも全然ありです。

◆口述試験終了後

とりあえず終わった日はディズニーランドにでも行ってください。私の時は10月でちょうどハロウィンの時期だったのですが、行かなかったことを今でも後悔しています。はっちゃける若さが足りなかった。

で、口述までいった人はほとんど合格しますので、司法試験の準備をしておくと良いでしょう。

予備論文に合格する人なら、インプットもアウトプットも十分なので、司法試験過去問に取りかかってください。

いまいちやる気が出ないって場合、口述試験から合格発表まではそんなに期間が空かないので、休むのもありです。

口述試験で落ちてしまった人は、予備論文に受かっている時点で超実力者なので、落ち込まずに再度論文の勉強を始めて下さい。自信を持って。

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