刑事訴訟法の問題文の読み方
(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)
◆問題文の読み方
◎総論
刑訴の問題は、問題文に雑多な事実も比較的多めに含まれています。で、その中からあてはめに使う事実を探していくというのが基本的な構えになります。上3法ほどきれいに問題文をブロックで切り分けられるわけではありません。
そして、使う事実としても、強制捜査・任意捜査とかは、いくつかの事実をピックアップし、その総合考慮で結論を出すことになるわけです。
とすると、問題文を、大枠の流れが分かるように、ある程度整理するというのが基本的な読み方になります。この大枠の整理に資するよう、線引きする感じになります。
◎整理の方法
∇線引きの方法
捜査は基本的に時系列で進展していきます。とすると、大きな時的区切りとして、以下の3つがありますので、これらに赤線を引くことになります。
1.令状発布
2.令状による捜査(逮捕、捜索・差押え)
3.起訴
逆に言えば、ほかの諸捜査行為・事情は緑で線を引いたり、囲ったりすることになります。
∇設問を意識
もちろん、設問で違法性を検討せよと明示されている、問題文中で事前に線が引かれている捜査行為にも赤線を引きます。これも区切りに役立ちます。
◎当てはめ事実のピックアップ
上記の手法で問題文を読みやすくした上で、当てはめ事実をピックアップすることになります。このピックアップのためには、事前に規範の考慮要素を整理しておくことが必要です。問題文を読んだその場で使う事実だと見抜くものではありません。
たとえば、任意捜査は、①必要性、②緊急性、③相当性ですが、①はさらに、a犯罪の重大性、b嫌疑の程度、c手段の非代替性に別れ、②緊急性は時的な非代替性を書きます。
こんなもの、その場で思いつくことはできません。
逆に、こういう規範の先の考慮要素が分かっていると、雑多な事実のなかでどの要素をピックアップすべきか明確に分かるようになります。すなわち、この点での読み方のコツは、規範の先の考慮要素を事前に整理しておく、という話になります。