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勉強の密度問題

◎知識を覚える必要 誤解を恐れずに言えば、司法試験は「知識を問う」試験です。論点「主義」などと言われて、あたかも論証を書くことが悪いことだと言われたりもしますが、それは全くの間違いです。司法試験で聞いているのは論点です。そして、90パーセント以上の論点は、事前に知っておくことが求められています。「論証を吐き出す」ことが求められているのです。 これは毫の疑いもなく法律論です。論証というのは、論点についての判例をコンパクトにまとめたものです。法律実務家は、判例を踏まえて書面を書くことが求められます。ならば、実務家登用試験で判例を知っているかを試すのは当然です。そのとき、長々と書くのではなく、判例の要点をまとめた形で書くことが求められます。これが論証です。 難点は、これが膨大なことです。論証は基本の7科目だとだいたい800~900個くらいあります。しかも、これらはそれなりの長さの文章です(実際に覚えるのはキーワードだけですが)。試験に通用する水準で覚えておくのは結構難しいでわけです。短答知識なんかも含めると、それはそれは膨大な量になります。 ◎勉強の密度 このために必要なのが、一定の教材を一定期間に一定回数繰り返し読むことです。「勉強の密度」とでもいいましょうか。 人間の脳というのは忘れるようにできています。で、この忘れる程度というのは、期間に比例します。受験論でよく用いられる「エピングハウスの忘却曲線」というものがあります。X日間経つとYパーセントしか覚えてないというものです。 これは、逆に言えば、たとえば、1か月前に読んだものより、1週間前に読んだものの方が良く覚えているということです。すなわち、選択科目も含めた8科目の論証集を1か月かけて通して読んだとき、最初の方で読んだものはほぼ忘れてしまっているわけですが、1週間に圧縮して読むとある程度は覚えており、試験に通用する水準で維持できるということです。 分からなかった問題なんだけど、実は論証集に載っていた、知っている問題だったけど、うろ覚え過ぎてまともに論述できなかった。そんな経験はありませんか。それはあなたの能力の問題ではなく、単に密度が足りなかっただけです。 以上のように、一定期間内に、一定範囲の教材を、一定回数回すという、勉強の密度が合格に関わってくるのです。 (なお、このとき、教材の決定と、繰返し回数は、人それ...

「悪しき方法での受験勉強」からの脱却

◎多浪の原因は何か 私は、勉強開始から11年、受験回数8回、失権を経て、ようやく合格しました。 これに関して、逆にどうして合格できたの?と聞かれることがあります。あまり上手く答えられなかったのですが、最近なんとなく分かった気がするので書いて残しておこうと思います。 前提ですが、私は大抵の失敗の原因は、能力でもやる気でもなく、「考え方」にあると思っています。たとえば勉強量が足りない人は、怠惰なのではなく、「合格までどれくらいの勉強が必要か、それを試験日までにこなすのに1日にどれくらい勉強しなければならないか」を認識しておくことが必要ということを考えていないのです。これなくして一生懸命勉強することは不可能です。ゴールまでの距離と時間制限を知らないのに、マラソンすることなんて不可能ですから。 これを踏まえて、私の多浪の原因は「悪しき方法での受験勉強」の考え方に嵌まっていたことにあると分析しています。これは大学受験までに遡ります。 ◎悪しき方法での受験勉強 私は大学受験時代、理系科目は「解法を覚える」という勉強方法を採っていました。問題集を何度も解いて解き方を覚えてしまうわけですね。 しかし、これは上手くやらないと学力は伸びません。要は「暗記」になっていまうわけです。解き方の表層は理解します。しかし、なぜその問題でその解き方をとるのかを理解していないと、少し違う問題が出てしまったときに、対応できなくなります。 また、基本知識の応用方法を知らないと応用問題は解けません。「応用」っていうと漠然とした感じになるのですが、明確に方法論があるのですよね。ただ、それは数値を入れれば答えが出る自動販売機的なものではなく、思考の補助線・導きの糸にすぎず、それを使って汗をかきながら考える必要があります。 (最近、『鉄緑会 基礎力完成 数学ⅠA+ⅡB』という本の前書き部分だけぱらっと見たのですが、「一般に数学の問題を解く際には、次のような2ステップをたどる。・問題の条件を読み替える(問題を数学的に書き換える)・書き替えた後で計算する」ということが書かれていました。これとか応用方法の話だなと思うんですよね。基礎知識を未知の問題に適用するときの考え方を抽象化・一般化しているので。そして、これだけでは解けないというのも同じです。) 要は、解法等のさらに奥にある論理を知るということを行なわず、表層的な...

与五沢悟講師の合格体験記の紹介

私も講師をしています個別指導塾リーガルゲートの同僚である、与五沢講師の合格体験記がアップされました。非常に良い内容でしたので、ご紹介したいと思います。 【与五沢悟講師 合格体験記 前編】ルーティン化の軌跡。予備試験・司法試験に合格するまでの道のり 【与五沢悟講師 合格体験記 後編】ルーティン化の軌跡。予備試験・司法試験に合格するまでの道のり 直接読んでいただければそれで足りると思いますが、私が素晴らしいなと思った部分について少しだけコメントします。 1.教材を絞っている まず、この点が良いと思いました。手を広げてしまうとその教材の習熟度が下がってしまいますから。また、絞った対象が予備校問題集というのも非常に合理的です。アウトプットを通じてインプットをする形で一石二鳥な訳です。 絞るとした決断力もすごいですね。いろいろな情報が入ってきてしまって混乱してしまった。そこで絞ったということなのですが、ここで混乱したままに散漫に手を付けてしまう方も珍しくはありません。 この決断時に、過去問は当然として、予備校問題集に絞ったのはどういう思考に基づいてなのか、一度伺ってみたいところです。 2.勉強の密度が高い 司法試験は範囲が膨大です。そのため、勉強したものはどんどん忘れていってしまいます。忘れるのは脳の構造上不可避なので、対策としては勉強密度を高めるしかありません。たとえば、普段1ヶ月かかる勉強をがんばって1週間でやったとしましょう。1ヶ月前のことより、1週間前のことは相対的によく覚えているわけです。 働きながら毎日4時間以上の勉強時間をとるというのは、結構大変です。これをやりきった意思力と体力はすごいです。 3.一度の不合格を通して勉強範囲を拡大している 最後に、一度の不合格の敗因分析を通して、足りないなと考えられて、論証集(と網羅性の高い問題集)を使っての勉強も追加されているのも良い点だなと思います。 実際、問題集1冊だけだと論点知識が足りません。なので論証集等は有益なのですが、これを本番試験(要は過去問)というゴールから考えて追加したことが重要です。巷に溢れる情報(あれやったほうがいいこれやらなくていい等)は根拠不明なわけです。一番客観的な情報源である本番試験・過去問に拠って修正するのが一番合理的です。 また、「問題集だけ」と固定化せず、柔軟に勉強範囲を広げたのも素晴らし...

学説等の勉強での位置付け

◆はじめに――学説を勉強する意味はあるのか 司法試験の勉強において、位置づけが難しいのが学説です。 たとえば、刑訴の差押えの範囲において、緊急説を勉強する意味はあるのか。もっというと、学者の書いた基本書を読む意味はあるのか。「だって答案に書けないじゃない」と。 私見を先に述べておきますと、「受験的な意味は限定的、が、勉強すると楽しいぞ」です。 どう楽しいかをうだうだ話してもつまらないので、そういう話は一番最後にします。まずは学説の勉強方法について解説します。 ◆学説の勉強方法 ◎学説を具体的要件に落とし込む 学説は、論点における一説です。で、論点はどこから出てくるのかというと、要件からです(効果についての争いもあったりしますが、要は同じことです)。換言すれば、学説は、「必ず」どこかの要件に落とし込めます。 たとえば、緊急説は無令状差押えの範囲の論点ですが、逮捕に伴う捜索・差押えの条文上の要件は、 (1)「逮捕する場合」、(2)「逮捕の現場」、(3)「差押え」です。じゃあ、(3)の範囲は?という論点が出てくる訳ですが、それを根拠論とともに議論しているのが相当説と緊急説です。 で、法学における論・説というのは、何らかの利益を代表しています。体系性や法理論から考える場合でも、それは公平性、すなわち、体系性や法理論が貫徹されないと公平性が害されてしまう人の利益を代表しています。 要は、反対当事者に有利な結論を導くために学説はあるのです。法学で実際に結論に影響を及ぼすのは要件と効果だけです。趣旨は、要件・効果を通して具体化されるので、直接的には結論に影響しません。学説は必ず要件・効果に落とし込めるのです。 したがって、 1.必要なのは、要件(・効果)の徹底的な整理 2.そこから、学問的議論を要件(・効果)に落とし込む というのが、学説の勉強における不可欠な基礎になります。これがないと抽象論としてしか捉えられません。それは学説を捉え損なっているということです。 ◎学説の背景にあるもの 上記のとおり、学説というのは、通説・判例に対して、対立利益を代表した論・説なわけですが、場当たり的に反対説をとっている訳ではありません。法学の体系的な解釈に基づき、当該学説が導き出されているのです。 法学には、なぜ体系的解釈が必要なのか、もしくは、なぜ体系的解釈が生まれてくるのか、という話は、あま...

日経特集「司法試験に落ちた君へ」リンク集【論文合格発表期向け記事】

【2024年】 50歳で司法試験合格 受験資格喪失、働きながら再挑戦 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG06A1Z0W4A101C2000000/ 不合格で諦めた法曹の夢「必要とされる場は必ずある」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG227UY0S4A021C2000000/ 6度の司法試験失敗、メルカリで生きた「濃い経験」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG245N50U4A021C2000000/ 【2023年】 司法試験に落ちた君へ AI研究者「三振」バネに58歳の春 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2054Y0Q3A021C2000000/ 司法試験に落ちた君へ 弱き労働者守る遅咲きの闘士 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC258EX0V21C23A0000000/ 司法試験に落ちた君へ 18連敗から逆転、税務弁護士の雄 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC133FK0T11C23A0000000/

今年の司法試験に落ちてしまった人へ【論文合格発表期向け記事】

そんなに落ち込まないでください。 私は、勉強開始から11年、受験回数8回、受かったのは34歳です。なんならロー3年制のところ留年して4年行ってます。 司法試験は失権してからが本番です。4回目合格とか短期合格です。3回目の人とかまだ司法試験の酸いも甘いも知らないひよっこです。 世には17年という超人もいます。その弁護士の方はいま社会で超絶に活躍しています(百選に載るような判例も勝ち取っています)。要はどうとでもなるという話です。私もいまのところ年数の長さでは1ミリも支障が生じていません。繰り返しになりますが、どうとでもなります。 さて、本題です。まずなぜ落ちたのか分析しましょう。 私の経験と受験指導等で得た感覚では、基本的に原因は、 (1)予備校論証集をつぶしていない、 (2)過去問をつぶしていない、 の2つです。司法試験は知識と解き方の理解の2点が必要です。(1)(2)を行うことでその2点を身に付けることができます。なお、(1)は、覚えようとしたりせず、まずは3回通読でよいです。(2)は全年度の答案作成までは不要です。最低3年分は実際に解いて書いて、それ以外は問題文・解説・再現答案を読み込むだけでもいいです。最低限ですが。 これを行ったうえで落ちてしまった人は、たぶん、 (3)全く未知の問題が出てくると対応できない (4)働いていて(もしくは体調不良とかで)最後の詰め込みの時間が取れなかった、 のどちらかが原因でないかなと思います。ただ、これらも、未知の問題の解き方を自分の中で整理しておく(必要性相当性でオリジナル規範を立てる等)、時間の取り方を工夫する、と対処方法は割と明確です。 最後に、運が悪かった、問題を読み間違えた、というものがあります。試験は水物ですからそういうこともあります。ただ、(1)~(4)の全部ができていたなら十分に力があるので自信を持ってください。運が悪かっただけです。 以上でだいたい落ちた原因の分析はできたのではないでしょうか。これで試験を続けるべきかやめるべきかフラットに考えられるようになります。 そこで、次に、試験を続けるべきかどうか考えましょう。なお、今の段階で続けようと思っている人はそのまま続けてください。以下は複数回受験等で、続けるべきか、続けられるか、本気で悩んでいる人向けです。 まず、いろいろな人にいろいろと話を聞いてみてください...

予備試験の試験期間中およびその前後の過ごし方について【予備試験直前期~終了後向け記事】

予備試験の試験前からの過ごし方も悩ましいところです。以下、参考までに過ごし方の一例を挙げておきます。 ◆短答式試験集中期間 いつからこの期間に入るのか悩ましい部分があります。ただ、注意喚起的に述べておくと、結構短答を軽く見ている方が多い気がします。 少なくとも、一度合格したことがある、または、予備校の短答模試(これ、直前期以外にも開催されています)で合格点以上を取ったことがない人は、遅くとも2か月前から集中した方が良いでしょう。3か月前から集中しても良いくらいです。 短答式というのは1年間でこなした量に比例します。この量に基づいて考えるなら、肢別または過去問パーフェクトを全問題2周&間違えた問題復習くらいが合格ラインだと思います。この量をこなせてない人は、素直に早い時期から短答に集中してください。 勉強法について詳しくは以下の記事を参照してください。 →記事 「短答で足切りされてしまった人へ」 ◆短答式試験期間 ◎試験前日 予備試験の短答は、1日で8科目(一般教養含む)もやるので、たとえ短答といえど大変です。 したがって、前日は早めに寝てください。 ただ、丸一日休まないとダメかというとそうでもありません。短答の勉強はそこまで体力を使わないので、前日も淡々とやっても次の日にはそこまでの影響はありません。 もっとも、早く寝てくださいという話は強調しておきます。 ◎試験当日 で、試験日当日ですが、休憩時間中も詰め込むことも選択肢です。 特に下四法は、条文や典型知識そのままの問題が出て、過去問なり、条文なりを見てたら、確実に解けるという問題が多いです。これは、上三法より少し難易度が低く、また、問題数も少ないのですが、練度が足りないので覚えきれないという感じになるからだと思います。このため、直前に見てもある程度効果があるということになるわけです。 実際、私自身、刑訴の棄却・却下あたりの問題を直前に見て、そのままの問題が出て助かったという経験があります。 もちろん、私は予備短答を受けたのは失権した後なので、上三法はよく勉強していたから相対的に下四法の勉強をしていなかったからと言う面もありますが、それでも上述の性質はやはりあると思っています。 したがって、下四法については、それぞれの時間の直前に見るのをオススメします。 ◎まとめ 要は、無理しない程度にですが、ぎりぎりまで...

短答で足切りされてしまった人へ【短答合格発表期向け記事】

悔しいですね。 私は初回の本試験受験時に短答落ちした経験があります。「あんなに頑張ったのに論文の採点すらしてもらえない」と泣きながら友達に電話していました。当時26歳、大の大人がみっともなく泣きじゃくってしまいました。そのあとは自分のふがいなさに落ち込みっぱなしでした。非常に恥ずかしかったので、大半の人には落ちた事実は内緒にしてました。 受験4回目のときに短答落ちしてしまった友人もいます。その時の彼の気持ちを想像すると辛くなります(ただ、その彼はいまでは弁護士です)。 ですが、前を向くしかありません。そして、あなたは他の受験生より有利です。なぜなら他の受験生が論文合格発表まで勉強に身が入らない中、先行して再スタートを切れるからです。3か月ちょっとの差は約100日、1日の勉強時間を10時間だとすれば、1000時間のアドバンテージになります。圧倒的です。 そして、そのアドバンテージを最大限活用するために、自分の敗因を分析しましょう。私の経験と個別指導の生徒からの聞き取りから検討したものですが、一般に敗因となるのは以下の3つです。 1.量が足りていない 短答の成績は基本的にその1年間にこなした量に左右されます。そして、合格したときと同じ量をこなせば基本的に再び落ちるということはありません。 たとえば私は、2回目の受験のときに短答パーフェクトを2周と半分(間違えた問題のみの復習のこと)を解いて受かりました。その後、少し量を減らして(というか勉強がうまく進まず減ってしまって)1周半しか解けなかった年にも受かりました。その後、基本的には1周半解いていましたが、一度も短答に落ちていません。 そして、短答を解いた量と成績は比例します。最後の年に改めて2周半しましたが、それまでは110〜120点代をさまよっていたのが、140点を超えました(ただ、これは直前期に詰めて解いてたのも影響してると思います)。 2.網羅性が足りていない 次に重視したいのは過去問の網羅性です。 たまに数年分だけ過去問を遡るとか、正答率の高い問題だけという形で問題数を絞って解く方がいます。が、あまり成績が振るっていないように思います。それは当然で、その遡った年度より昔の過去問が出た場合、または、過去問には出たけど正答率の低かった問題が再度出た場合、網羅的に解いていた人は知っている問題でも、そうでない人は知らないわ...

予備試験における短答と論文の勉強のバランスについて

予備試験の勉強ですが、短答と論文の勉強のバランスで悩まれている方が多いので、記事で一案を挙げたいと思います。 今年の予備試験短答式試験に落ちてしまった人 の参考にもなると思います。 ◎論文の基礎は先に学ぶ たしかに短答は足切りなわけですが、いきなり解いても効率が悪いです。理由については以下の記事をご覧下さい。幹と枝葉の関係というワードで解説しています。 →記事 「短答で足切りされてしまった人へ」 加えて、たとえ短答に集中したとしても、結局論文は突破出来ないので、この点からも最低限の論文の基礎は身につけておかなければなりません。 以上を踏まえると、8科目のインプット講座等を一通り終え、予備校問題集を一通り解いた後に、短答に着手するという流れが良いと思います。 どうしても焦ってしまう場合は、予備校問題集と併行して進めても構いません。ただ、短答に使う時間は抑制的にしてください。 ◎予備試験の短答式試験は甘くない 以上のように、論文の基礎を身につけることを優先してほしいわけですが、といっても、それを優先すれば短答も出来るというわけではありません。単に効率が悪いので先に論文の基礎を身につけた方が良いですよと言うだけです。 これは強調したいのですが、 「短答は甘くない」 です。もう一度言いますが、 「短答は甘くない」 です。大事なことなので2回言いました。 まず、倍率が高いです。加えて、短答試験日と論文試験日が分かれているので、予備試験受験生は短答式試験に全力を注いできます。必然、全体のレベルが高くなります。 そして何よりも、復権を目指している人以外は初学者の方が多いと思います。普通の密度で1~2年勉強しても合格は難しいです。高い密度と必死さが必要になります。 ◎短答着手後は、短答を優先で 以上の予備試験の短答式試験の難しさを踏まえると、短答着手後は、合格水準に達するまでは短答を優先して勉強した方が良いでしょう。 優先とは、具体的にいうと、1日の勉強で、短答式試験のノルマを終えた後、残った時間で論文の勉強をするという流れで予定を立て、実施することです。 残った時間での論文の勉強は、論証集の通読や、週1の答案作成等になるでしょう。 もちろん、合格水準に達した後(実際に合格するか、後述の予備校模試で合格水準に達した後)は、勉強の比重を下げても構いません。 ◎解く量の最低ライン 1日...

司法試験の試験期間中およびその前後の過ごし方について【司法試験直前期~終了後向け記事】

司法試験の直前期からの過ごし方はなかなかに悩ましいです。以下、参考までに過ごし方の一例を挙げておきます。 ◆試験期間前 ◎2か月前のあたり ∇体調管理 このあたりから、勉強の量を抑制して、体調管理を優先させてください。たとえば、この時期に風邪を引いて三日寝込むとします。3÷60=5%以上勉強期間が失われるわけです。試験が近づけば近づくほど損失は大きくなります。 ∇答案作成は続けるべきか ゼミ等での答案作成を続けるかは悩みどころです。後述のとおり、抜けている知識をカバーすることが必要になってきます。要は、インプット重視した方が良いよと言う話で、逆にアウトプットは削り始める時期かなと。 答案作成って、その準備や、復習等で一日終わってしまうので、結構重たいです。必然、ほかの勉強時間を削ってしまうわけですね。 しかも、書く能力は1~2か月で急激には伸びない一方、ちょっとサボってもそこまで急激には下がりません。書かないデメリットは、この時期に来るとそこまで大きくないわけです。 以上を踏まえて、悩みどころですが、2か月前まではまだ答案作成は続けても良いですが、週1くらいに抑えたほうがよいと思います。週2は多いかなと。 で、書かない場合は、書写がオススメです。筆力(これは2026年以降はタイピングスピードになるでしょうが)を落とさないためです。1日1頁でも、1答案(8頁)でも構いません。 ∇インプットは何をするか 書く時間を抑制したら何をするかですが、インプットを重視して勉強してください。基本的には復習です。過去問を読むだけとか、演習書を読むだけとかもありです。 ただ、基本書を読むのはオススメしません。ちょっと重たすぎるので(読めちゃう人もいますけど、あれは例外的な人たちです)。試験対策に向けた教材、たとえば、論証集、条文、過去問、演習書、予備校問題集、(取捨選択した)百選、予備校テキスト、くらいが候補になるでしょうか。 この候補の上で、何を順番に復習するかですが、優先順位が高いものからです。復習している最中に、予定はどんどん遅れていきます。これは当たり前です。計画というのは「順調に遅れる」ものなのです。なので、時間切れになったときに困らないように、優先順位が高いものからやっていくわけです。 個人的な優先順位は、上に書いた「論証集、条文、過去問、演習書、予備校問題集、(取捨選択し...

直前期(試験1~2か月前)でテンパっちゃってる受験生へ【司法試験&予備試験論文式試験 試験直前期向け記事】

◎はじめに そんなにテンパらないでください。「出る前に負けることを考えるバカがいるかよ」と、故・アントニオ猪木氏も仰っています。 テンパる理由は、ほぼ100%「勉強が進んでいない」ということにあると思います。私が良く目にするの(ないし過去の自分)は、論点覚えていないとか、過去問やっていないとかです。 しかし、司法試験は、「これ知っていないと落ちる」という試験ではありません。もちろん、程度問題ではあるのですが、そのハードルは意外と低いのです。 もっとも、ある種の「思考の構え」みたいなのがないと、ただ漠然と膨大な問題群にぶち当たることになり、試験中に混乱してしまいます。 この「思考の構え」というのは、いわゆるリーガルマインドの最小構成要素、核心だと私は思っています。これさえあれば、一応闘うことはできるはずです。 ただ、勉強が全然進んでいなくて(これは勉強の方向性をミスってしまっているが故の場合もあります)、テンパっちゃっている人に抽象的な「思考の構え」とか話しても仕方ないと思います。 そこで、以下、具体的な勉強法について書きます。これをこなせば良いです。で、その上で、最後に補足的に「思考の構え」について解説していきます。「思考の構え」は理解していなくても、下記の勉強法をこなせばそれが身につきますので。 なお、以下に書くことぐらいはできてるよって人は、なんとなくテンパっているだけなので、自信を持って下さい。強いて言えば、「思考の構え」がないが故に、無限の勉強が必要だと思い込んでる可能性があります。以下の内容は多少はデトックスになると思います。ご参考程度に。 ◎司法試験に必要な最小限の教材 司法試験で必要な最小限のテキストは何かというと、1.過去問、2.論証集です。 1.過去問をみないと、本番の問題で、何を聞かれているのか、何を書けば良いのか分かりません。 2.司法試験は論点を聞いています。そのため、論証集をみないと、何を聞かれているのか、何を書けば良いのか、分かりません。 以上の二つを潰す必要があるわけですが、時間がないので、やり方にちょっとしたコツがいります。 ◎過去問をこなすコツ 過去問は解かなくて良いです。読むだけで良いです。 ・問題文をさらりと読む →模範解答またはA再現答案を読む →問題文をもう一度読む。このとき、問題文の事実のどの部分が解答に使われているのかを...

司法修習の勉強についてのメモ書き的なもの【司法修習開始期向け記事】

司法修習の期間はどうやって勉強したらいいのか、これが結構悩みものです。別になんとなく過ごしても二回試験はなんとなく受かりますが、せっかくなので効率よく、ないしは充実して学びたいですよね。 そこで、私が考える司法修習の勉強法をお話します(一応この観点にたって勉強していました。成績はそんなに良くなかったですが苦笑、すごく充実していたなと思います)。もっとも、方法というほど明確なものではなく、勉強の感覚的なものの説明になります。一言で言うならどうやって手を抜くか、みたいな話です笑 第1 司法修習中の勉強方法 1 勉強内容の分類 司法修習で学ぶ(学べる)内容は、(1)要件事実・事実認定、(2)手続的知識、(3)実務での慣習・テクニック、の三つに分けることができます。 (1)  要件事実・事実認定 ア 要件事実 要件事実自体の知識は、司法試験で学んだものの延長です。類型は、紛争類型別で必要十分です。 事実摘示するときにどう書くか、なんてのも学びますが、これは枝葉の知識ですね。 で、要件事実はそれ自体の知識も大切ですが、事実認定の前提でもあります。要件事実的に整理した上で争いのある部分に事実認定が生じるわけです。 なお、刑事では要は構成要件の整理ですが、司法試験の時に案外整理されてないので、起案の時に混乱したりします(たとえば、強盗傷人・殺人の実行行為をぱっと言えますか?)。 当然、起案では構成要件の知識は必要とされますが、司法試験のときに不十分だった構成要件の知識をあらためて整理することが必要だったりします。 イ 事実認定 事実認定も、要件事実と並んで、起案の成績に直結します。そして、この事実認定には一定の方法・枠組みがあります。 たとえば、民事において、事実認定は4類型に分けられます。 第1類型 処分証書があり、成立の真正に争いがない場合 第2類型 処分証書があるが、成立の真正に争いがある場合 第3類型 処分証書はないが、供述証拠がある場合 第4類型 処分証書はなく、供述証拠もない場合 この類型ごとに主張立証の目標が変わります。 こういう感じで、枠組みを学び、適用をトレーニングしていくことになります。 この枠組み自体がまぁまぁ理解が難しいと同時に、それを適用できるようになるのもまぁまぁトレーニングが要ります。 ロースクール経由の人はローの授業で、予備経由の人は実務科目で一定...

「合格者バイアス」について

合格者(合格前の優秀者含む)に勉強方法を教わるというのはとても重要なことです。合格するからには、合格する勉強方法を取っていたことになるわけですから。トートロジー感ありますが、結果で判断するというのは大切という話です。 ただ、その際、気をつけるべきことがあります。それは、「その人が強調してないけど重要だった勉強の要素」がある場合があるということです。 たとえば、私が相当優秀だなと感じていた方は、「基本書を読む」のが大切と言っていました。しかし、よくよく聞くと、「演習書を解き」まくっていました。 ほかには、予備校本を使うのは良くないとして、「ローの授業を重視」している方もいました。しかし、よくよく聞くと、自作の「論証集」をがっつり作っていました。予備校本を否定しつつ、論証パターンというザ・予備校の手法を採用していたわけです(ただ、まぁ、予備校本と論証パターンは違いはするので、矛盾はしていません。聞く側が予備校全般がダメだと勘違いしてしまうという問題です)。ちなみに、その方は、法学部出身だったこともポイントです。要は、ローの授業を重視できる基礎体力があったわけです(「自分はぜんぜんできない」という法学部出身者でも、基礎体力はある人がほとんどです)。 また、「論証集は要らない」という方もいましたが、よくよく聞くと「演習書を各科目2~3冊解い」ていました。これだけやれば論点網羅が可能です。 予備校重視で「論証パターンが重要」という方もいました。この方はそこまでギャップはありませんが、その論証パターンの数が、高い網羅性のあるレベルに達していました。あと、調べるべきことは基本書できっちり調べていました。 すごい量のまとめノートを作っている方もいました。試験前に全論点をまとめて受かったなんて人もいました。しかし、演習も過去問もすさまじい量をやっている人たちでした。やった上で余裕があるのでまとめノートを作っていたのですね。(もっとも、彼らがどうやってあの量のまとめノートを作りきったのかはいまだに謎ですが。民法とか、我妻栄先生の霊に手伝ってもらっていたのでしょうか) 合格体験記・体験談は、「基本書だけで足りる」「この演習書さえやればいい」「ローの授業が役立った」「重問死ぬほど回して受かった」「論証集に全部まとめた」等々の「これだけでいい」「これやらないとダメ」「これいらない」的な主観的...

教材と勉強する順番(6) 高みを目指す人の教材

◆高みを目指す人の教材 司法試験合格には必要ないけど、読めば楽しいですよ、という教材です。基礎知識との関係で読めば理解には資すると思います。ただ、やはり高度なので、よっぽどの状況出ない限り取り組む必要はないです。 この記事は、受験に必要な教材を見極めるために整理しているという面もあります。以下の教材は読めば法学理解は当然深まりますが優先順位を間違えないでください。「法学」ではなく「受験勉強」を優先してください。 ◎基本書通読 読むと面白いのは間違いないです。私がはじめて通読したのは高橋刑法総論ですが、体系と論理の貫徹に感動しました。最近は潮見先生の書籍を参照したりします。論理的整理がされるとやはり知識は使いやすくなりますね。 ただ、100番台くらいで受かった知人がいますが、基本書は通読していないと言っていました。試験的には不要なわけです。もちろん普段から辞書的に用いるのは一般的に行なえば良いと思いますが、通読は不要です。 ◎調査官解説 調査官解説を読んでいる人はいました。百選と調査官解説どっちがいいんだとかの議論もありましたね。判例の判断の前提として何が考えられていたのかが書かれていて判例の理解は深まります。ただ、試験では判旨を使う訳なので、やはり必要性は高くありません。 ◎学術論文 読んでいる受験生はいました。ついぞ受験中に読むことはありませんでしたが、いま読んだりします。最近だと刑法における一連の行為の論文とか読みました。楽しいですよ。学者すごいってなります。よくこんなこと思いつくなとか。ただ、やはり試験にはここまでは不要です。 ◎重判 これは法学と言うより、短答で高得点を目指す人用です。受験的目的がありますね。ただ完全に論点予測です。外れることも多いですし、ここまでやらなくても受かります。 また、論文用としては少々非効率だと思います。重判を知っていないと解けない問題というのは基本的に出ません。 ◎大部の判例集 数百判例以上載っているやつですね。短答潰しといえなくもないですが、やはりやらなくても受かります。 ◎判決直読み これはもう研究に片足突っ込んでますね。普通は判旨部分しか読まないでしょうが、全体を通して読むことで論理展開や、基本的な価値判断が読み取れます。ただ、やらなくても受かります。 ◆最後に 長かったですが、全教材の整理が済みました。この6つめの記事は...

教材と勉強する順番(5) 可及的教材

◆可及的教材 できればやった方が良い教材です。といっても、やらなくていいわけではありません。特に過去問は必須です。 なぜ「可及的」と名付けたかというと、 1.これらの教材をやらないとダメだと設定すると、実践演習が疎かになってしまう可能性があること 2.実際、これらの教材は、その一部をやってなくても受かる人がいること の2点が理由です。 やった方が良い理由は、それぞれの教材で異なります。事案処理方法理解、論証理解、論点潰し、などなど。 実践演習と教材がかぶっている部分があります。これは本来、全部実践演習で取り組めれば良いのですが、解いて書くというのは結構時間が掛かるので、効率化の観点から読むだけでよいとしたものです。実践演習と可及的教材の通読を同時並行でやるということです。読むだけでも意義があります。 なお、このあたりから教材の内容の難易度が上がってきます。分からなくてもめげずに繰り返し読むという努力が必要になってきます。 ◎予備試験過去問潰し(予備試験受験生向け) ∇過去問潰しの進め方 後述の通り、過去問独特の傾向があること(本試験ほどではないですが)、過去に出た問題はまた出ることから、潰す必要はあります。 実践演習として解く・書くことに取り組むべきですが、この方法では全科目全年度潰すのに結構時間がかかります。 そこで、最低限目を通すだけというこなし方も考えられます。上記傾向の理解、過去に出た論点の網羅等は目を通すだけでも可能です。演習以外で、こうした目的で使うことについて可及的教材として位置づけています。 ∇演習書との優先関係 可及的教材の優先順位についてですが、予備受験生は、演習書より過去問を優先させてください。予備試験過去問は予備校問題集を終わった段階でも全く解けないというレベルではありません。なら、やはり過去問を全年度潰すことが優先されます。 ただ、予備試験過去問を潰していても、あまり解き方がピンとこないなら演習書を読むのを先行させるのも良いと思います。ピンとこないのは大抵何かが欠けている場合です。解き方の理解、規範の理解、知らない論点、基礎的な概念の理解、等々。定評のある演習書は、一般的な受験生が見落としている思考の隙間部分を埋めてくれるような記載がなされています。だからこそ人気なわけです。 ∇過去問の癖をつかむ 以上の一般的な難易度の話とは別に、過去問を...

教材と勉強する順番(4) 続・必須教材

◆続・必須:7科目以外いつ始めるの問題 要件事実、その他実務科目に出る問題(事実認定・手続)、選択科目はいつ勉強始めるの、どう勉強するの、という話です。始めるタイミングについては、 前の記事 の最後の部分を読んでください。実践演習開始と同時または少し後くらいでよいと思います。以下では、どう勉強したら良いですか、という点を書いていこうと思います。 ◎要件事実 何はともあれ『改訂 新問題研究 要件事実』を読んでください。要件事実の基礎が高密度で詰まっています。 予備受験生は、この次は『4訂 紛争類型別の要件事実』を読んでください。これは本試験だと知識として過剰ですが、予備試験は類型別にしか載っていない(=新問研に載っていない)知識が聞かれます。 ロースクール生(本試験受験生で予備を経由していない人)は読むかどうかはお任せします。ただ、ローの授業で普通に必要になると思います。 補足しておくと、紛争類型別は極限まで記述を圧縮しているので、結構読みにくいです。副読本として岡口基一裁判官の要件事実の薄めの本とかを読むのもありです。紛争類型別は知識が過不足ない、まさに必要十分なので、ある種のまとめ本として位置づけられます。 なお、辞書としては同じく岡口基一裁判官の『要件事実マニュアル1・2』がおすすめです。請求原因・抗弁等、非常に明瞭に書いています。 ◎その他実務科目(事実認定・手続) 基本的に予備受験生が勉強する科目です。ただ、ロースクールでも授業として組み込まれているので普通に勉強することになると思います。 まず事実認定についてインプットテキストを一通り読んでください。インプットテキストとしては、民事は『ステップアップ民事事実認定』、刑事は『刑事事実認定入門』がおすすめです。 予備受験生は、その次は、予備試験実務科目の過去問に着手してください。「え、手続の勉強は?」という疑問が生じるかもしれませんが、手続の問題は基本的に過去問で尽くされています。改めてインプットテキストを読むより、過去問を潰した方が効率的だと思います。 いきなり過去問で大丈夫ですかと思われるかもしれませんが、大丈夫です。事実認定が最近難しくなりつつありますが、基本的に手も足も出ないような難問はでません。予備校問題集代わりに使えます。 このとき、民事実務科目の過去問には当然要件事実の問題も含まれますので、要件事...

教材と勉強する順番(3) 実践演習

◆実践演習 この段階から、本格的な演習が始まります。要は問題を解いてみる、答案を書いてみるという段階です。演習は、解く練習・書く練習という技術を身につけるという要素が強いです。知識との関係で言えば、基礎知識の応用・適用=使い方の練習の段階です。 もちろん、演習の過程で新しい知識を知ることもありますが、それはこの段階では付随的要素です。(「可及的教材」とも関わりますが、これは後述します。) ◎論文 ∇目的 上記のとおり、解く練習・書く練習が目的です。この問題は何の問題なのか(問題発見)、どう処理すれば良いのか(問題解決)、どう書けば良いのか(答案作成)を考える練習です。 このとき、当然知識との照らし合わせをするわけですが、 前の投稿 で説明したとおり、もう一つの重要な要素として、「解き方」(「 事案処理方法 」)について考えるという点があります。事案処理方法と知識の照らし合わせて正しい論点にたどり着くというのが問題文の解き方になります。 書き方は基本的に三段論法ですね。これも練習しないと上手く書けません。 要は、やみくもに解くのではなく、解き方・書き方の「型」を意識しながら解いてほしいという話です。この観点がないと、いつまでたっても悪い意味での「論点ぺたり答案」「金太郎あめ答案」から抜け出せません。 ∇注意点:完璧主義は止める 演習するにあたって、「論証を覚えてから~」とか「本番と同じく時間を計らないと~」とかやたらと前提を付けてしまう人がいます。はっきりいって不要です。 論証集を見ながら解いても良いです。むしろ模範答案等を見た上で、改めて解く・書くとかでもいいです。時間を計っても良いですし、測らなくても良いです。初期の頃は時間測ってもどうぜ時間内に解けません。 演習の目的は何かを考えてください。解き方・書き方の練習です。論証集を見ようが見まいが、時間を計ろうが測るまいが、この練習は可能なのです。論証集は試験直前に見返せば良いですし、解き方・書き方を身につければ、自然と時間は短くなります。 自らハードルを設けて、演習を後回しにするというのは止めてください。 ∇具体的やり方 自分の状況と演習教材のレベルに合せて、3つの方法があります。 1. なにもみずに解けるなら、そのまま解いてください。 2. なんの論点かぐらいは分かるが何も見ずに解くのはきついレベルなら、論証集をみ...

教材と勉強する順番(2) 必須教材

◆必須教材 必須教材というのは、さすがにこれをやっていないと受からない、演習を行なうことができないというレベルのものです。要は、必要最低限の知識・技術を得るための教材です。 ただ、勉強の進度・環境によっては不要な場合があります。この点についての判断は、後述の「必須教材は万人に必須か」の項目を読んでください。 ◎入門書 なにはともあれ最初は入門書がよいでしょう。概説書や予備校本等の初学者向けの本とはいえ、いきなり読みこなすのは困難です。法学は体系的学問ですから、大枠を理解してから徐々に深めていくのが良いです。 私がオススメするのは『伊藤真の●●法入門』です。「伊藤真の法律入門シリーズ」というやつですね。 ◎基本知識のインプット 次は基本知識のインプットをすることになります。教材は、ざっくりと一通りの基本知識を得られれば何でも良いです。 予備校の講座を受けるなら基礎マスでも総合講義でも良いです。他の予備校のでも良いです。もちろん、ロースクールの授業とかでも良いです。違いとしては一気に勉強できるのか、週1で少しずつ勉強していくのかの違いです。それぞれに学習効果があるようです。 もう一つの違いとしては、予習の要否ですね。ロースクールの授業は予習が必須なので、全くの初学者がそれでインプットしていくというのは若干ニーズに合ってないかも知れません。まずは予備校講座で一通りインプットしてから、ロースクールの授業に臨むというのも一つの方法です。 また、予備校本(呉基礎本、シケタイ、C-BOOK等)を利用するという方法もあります。予備校やローに行っていない人は、ざっと読んでください。ロースクールの授業の前に予備校講座を受けるという方法を挙げましたが、講座の代わりに予備校本を読むというのもありです。予備校本はかなり分かりやすく書かれています。 ただ、初学者の頃は人の説明(講座・授業)を聞く方がよいと一般的に思っています。行間といいますか、理解に必要な補足をしてくれるのでやはり人に説明してもらう方が分かりやすいのですよね。もちろん説明がいまいちな先生もいますが。 なお、読書が得意な人は概説書(非・体系書、比較的薄め)を一通り読むのでも良いです。ただ、概説書は予備校本に比して論点の強調が弱いので、次の予備校問題集には繋げにくいかも知れません(もっとも、これも読書が得意な人=論理の把握が得意な...