教材と勉強する順番(1) 考え方のポイント【新年度開始期向け記事】
私の受験生時代もそうですし、個別指導してて思うのですが、何をどういう順番で勉強するのか、どこまで勉強しないとダメなのか、というのは割と悩ましい話かなと。
そこで、6つの記事に分けて、考え方のポイントと、実際の順番を解説していこうと思います。今回の記事は考え方のポイントについてです。
◆考え方のポイント
◎受験的観点から
勉強のポイントは、「司法試験合格のために必要な知識・技術を身に着ける」ことにあります。
必要な知識・技術は、整理すると、体系的知識、問題発見能力、問題解決能力、答案作成能力の四つです。基本知識に基づいて、論点・争点に気付き、三段論法で解決し、答案を書くという話です。あと、過去問の独特の形式に慣れるというのもあります。
これらを身につけないとダメなわけですが、よくあるのは、答案作成能力を身につけていない(答案を書いていない)とかですね。これらの技術・知識を身につけられるよう教材・勉強内容を整理する必要があります。換言すると「網羅すべき勉強」を「網羅していない」と合格が難しくなってくるということです。
◎優先順位
受験的観点の続きですが、試験には期限があります。無限に時間があるわけではありません。そこで、優先順位を付ける必要があります。
上の四能力を最低限身につけるための必須教材、必須ではないが合格率をより高めるためにできればやった方が良い教材等の感じで優先順位を付けることができます。次回以降の記事で具体的に書いています。
◎受験勉強から法学へ
といっても、受験受験しすぎると、勉強つまらなくなっちゃうんですよね。また、実際、深い学的理解が知識の整理に役立つこともあります。要は理解等が簡易になるので、間接的に点数に結びつくこともあるかなと。なので、優先順位をつけつつ、法学的勉強も排除しないというのが良いと思います。
ですが、受験的基礎がないとその膨大さにやられます。まずは受験勉強することがおすすめです。順番と積み重ねが大事です。
◎補足:いまの自分に必要な勉強について考えるコツ
本記事では勉強の順番を解説していますが、そもそも読んでくださっている方にフィットするかどうかは別問題です。そこで補足的に、いま自身に必要な勉強は何かを考えるコツを書いておきます。
「1週間続けてみて、テストの点数があがるか」というのを判断基準として挙げたいと思います。
たとえば、初学者の人が基本書を1週間読み込んでも点数は上がりません。他方で、予備校問題集を1週間続ければ、1週間後には類例は解けるようになっています。これを中級者で考えてみると、予備校問題集なんてすでに潰しているわけですから、同じことを繰り返すより、演習書とかをやった方が点数が上がるわけです。
完璧な判断基準ではありませんが、参考程度に使ってもらえると幸いです。
◎補足:勉強を進めるコツ――分からなくても繰り返す
別に司法試験に限ったことではありませんが、勉強していてもよく分からない、ということがあると思います。特に、まったくの初学者が勉強に着手するときや、過去問を初めて見るときも、最初は、ちょっとなに言っているか分かんないです、となります。演習書等は難易度が高いですし、分からないことが多いです。
適切なステップに沿って教材を選んで勉強していてもこういうことは生じます。そこで、自分のレベルに合わないのではないかとか、もっと分かりやすい教材はないかと右往左往することになります。
たしかに、レベル問題や、分かりやすい教材を検討すること自体はよいです。ただ、その前に、分からないと止まってしまうのではなく、その部分は飛ばしてしまって先に進んでみるという方法を取ってみてください。そして、最後まで進んだらまた最初に戻って読み直してみてください。多少理解度が上がるはずです。信じられないかも知れませんが、これを繰り返すと、文意は取れるようになります。
山口真由先生の『7回読み勉強法』という書籍がこの繰り返し読む勉強方法について詳しく書いています。ただ繰り返し読むだけでいいとはいいませんが(同書籍に詳しい方法論が書いています)、なにも分からずとも繰り返せば少しずつ理解は進みます。
分からない部分があって、勉強を止めてしまう傾向にある人は、上記を参考にしてみてください。ちなみに私は、テキストはまず最初に3回はざっと目を通すというようなことをやっていました。そこから精読ですね。これは『7回読み勉強法』に書いてある方法を参考にしています。
◆次の記事
次から具体的な教材について解説していきます。まずは必須の教材からです。