教材と勉強する順番(4) 続・必須教材
◆続・必須:7科目以外いつ始めるの問題
要件事実、その他実務科目に出る問題(事実認定・手続)、選択科目はいつ勉強始めるの、どう勉強するの、という話です。始めるタイミングについては、前の記事の最後の部分を読んでください。実践演習開始と同時または少し後くらいでよいと思います。以下では、どう勉強したら良いですか、という点を書いていこうと思います。
◎要件事実
何はともあれ『改訂 新問題研究 要件事実』を読んでください。要件事実の基礎が高密度で詰まっています。
予備受験生は、この次は『4訂 紛争類型別の要件事実』を読んでください。これは本試験だと知識として過剰ですが、予備試験は類型別にしか載っていない(=新問研に載っていない)知識が聞かれます。
ロースクール生(本試験受験生で予備を経由していない人)は読むかどうかはお任せします。ただ、ローの授業で普通に必要になると思います。
補足しておくと、紛争類型別は極限まで記述を圧縮しているので、結構読みにくいです。副読本として岡口基一裁判官の要件事実の薄めの本とかを読むのもありです。紛争類型別は知識が過不足ない、まさに必要十分なので、ある種のまとめ本として位置づけられます。
なお、辞書としては同じく岡口基一裁判官の『要件事実マニュアル1・2』がおすすめです。請求原因・抗弁等、非常に明瞭に書いています。
◎その他実務科目(事実認定・手続)
基本的に予備受験生が勉強する科目です。ただ、ロースクールでも授業として組み込まれているので普通に勉強することになると思います。
まず事実認定についてインプットテキストを一通り読んでください。インプットテキストとしては、民事は『ステップアップ民事事実認定』、刑事は『刑事事実認定入門』がおすすめです。
予備受験生は、その次は、予備試験実務科目の過去問に着手してください。「え、手続の勉強は?」という疑問が生じるかもしれませんが、手続の問題は基本的に過去問で尽くされています。改めてインプットテキストを読むより、過去問を潰した方が効率的だと思います。
いきなり過去問で大丈夫ですかと思われるかもしれませんが、大丈夫です。事実認定が最近難しくなりつつありますが、基本的に手も足も出ないような難問はでません。予備校問題集代わりに使えます。
このとき、民事実務科目の過去問には当然要件事実の問題も含まれますので、要件事実・事実認定・手続の3つをすべて演習することができます。
解く年度はとりあえず3年分くらいでよいです。問題のタイプはだいたいさらえます。
なお、ロースクール生(本試験受験生で予備を経由していない人)は、ローの授業で出される課題をこなせば十分です。
◎選択科目(国際私法の場合)
※まず、私は国際私法を選択科目にして合格しましたので、国際私法以外の選択科目はよく分からないということは述べておきます。なのでこの解説はあくまで国際私法についてのものになります。
∇国際私法がオススメな理由
まず勉強量が少ないです。倒産法は民法と商法と民訴を足して2で割った感じなので、率直に言って重いです。私は元倒産法選択なんですが、重すぎて変えました。
軽さで比較するなら経済法の方が知識は少ないです。なのになぜ国際私法を選んだかというと、経済法は論点選択に悩む問題があると聞いたからです。伝聞なので真偽は不明です。ただ、たしかに国際私法は本当に定型的なので、論点外しはほぼ起きないだろうなと感じました。もちろん、重要論点と過去問は網羅することが前提ですが。なお、重要論点の網羅の仕方は後述します。
あと、日本でも昨今、使う機会が増えていると思います。国際結婚の離婚・相続とか。無駄にはなりません。
まぁ、実務にでたら倒産法とかの方が圧倒的に使うだろって話なんですが、受かってから勉強すればよいです。そもそも受かんないと倒産法とか使う機会ないんですから。
∇具体的やり方
まずはインプット講座を受けてください。私はアガルートの講座を受けました。
次は、論証の整理です。私は、『これ一冊で国際私法』に載っている論証に、講座のテキストに載っている論点を補充して使っていました。アガルートの論証集でも当然かまいません。たしか当時、論証集がついてる講座が別売りで、ケチって『これ一冊』にしただけだったと思います。いま思い返せば経済的合理性以外に合理性はなかったと思います。
次に、本試験過去問を3年分解いてください(予備試験はまだ1年分しかないので)。この際は、過去問解説講座を受けるのをオススメします。理由は、模範解答がついていますし(重要です)、あまり馴染みのない法律なので解説あった方が分かりやすいからです。
いきなり過去問?と思うかもしれません。1年に大問二つあり、大問1個も若干分量が多いですが、7科目に比較すると無理なレベルではないです(むしろ7科目はなぜあんなに尋常じゃない問題分量なのか疑義を呈したいところですが)。予備校問題集レベルで手軽に取り組めるとは言いませんが、まったく取り組めないというレベルではありません。
そして何よりも、解答がついている問題集が他にありません。答案のイメージなくして勉強する方がハードルが高いと私は思っています。
ちなみに、私は同じくアガルートの過去問講座を受けていました。ほかの予備校でも講座があるならどこでもかまいません。予備過去問は現段階で1年分しかありませんが、解説講座があれば受けてもよいと思います。
◆次の記事
以上で、7科目以外も含めて、合格に必須の教材は網羅したことになります。必須教材(続・必須教材含む)と実践演習を繰り返し続ければ、合格は見えてきます。
ただ、やはり見えてくるというレベルです。必須というのは本当に最低限ですので。合格率を上げるため、特に本試験で合格率を上げるためには、やった方が良い教材があります。「できる限り」やった方が良いということで「可及的教材」と呼称しています。
注意点としては、可及的教材を全部やらないと受からないというわけではないという点です。百選なんてつぶしてなくても受かる人がいます。次の記事では、可及的教材のなかでも優先度の高いものから順番に書いているので、一個々々、焦らず順番に潰していってください。必須教材と実践演習で基礎はできていますから。