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刑事訴訟法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・決まった問題しか出ない。論点数も少なく、網羅しようと思わなくても、いつの間にか網羅している。 ・ただし、規範の考慮要素まで分かっていないと書き負ける。上述の整理が必要。 ・なお、学説問題が最近出ているが、論証集に載っている学説(ないし論点についての学説)で足りる。 (補足) ・捜査の論点は、時系列に並べると実際の問題で論点に気づきやすい。たとえば、令状の提示の諸論点。 ◎使用テキスト 【必須】 ・論証集 ・条文(見出しがないので要チェック。ただし、論証・答案で引用されているものでよい) 【可及的】 ・事例演習刑事訴訟法(古江本) →深い理解のため。論証集に掲載されている内容を完全に理解できる ・判例百選 →論証集=規範の先、事案・あてはめを知るため。ただ、判例解説を読まないと理解できないので、事例演習を先にやるのも良し。

刑事訴訟法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎総論 刑訴の問題は、問題文に雑多な事実も比較的多めに含まれています。で、その中からあてはめに使う事実を探していくというのが基本的な構えになります。上3法ほどきれいに問題文をブロックで切り分けられるわけではありません。 そして、使う事実としても、強制捜査・任意捜査とかは、いくつかの事実をピックアップし、その総合考慮で結論を出すことになるわけです。 とすると、問題文を、大枠の流れが分かるように、ある程度整理するというのが基本的な読み方になります。この大枠の整理に資するよう、線引きする感じになります。 ◎整理の方法 ∇線引きの方法 捜査は基本的に時系列で進展していきます。とすると、大きな時的区切りとして、以下の3つがありますので、これらに赤線を引くことになります。 1.令状発布 2.令状による捜査(逮捕、捜索・差押え) 3.起訴 逆に言えば、ほかの諸捜査行為・事情は緑で線を引いたり、囲ったりすることになります。 ∇設問を意識 もちろん、設問で違法性を検討せよと明示されている、問題文中で事前に線が引かれている捜査行為にも赤線を引きます。これも区切りに役立ちます。 ◎当てはめ事実のピックアップ 上記の手法で問題文を読みやすくした上で、当てはめ事実をピックアップすることになります。このピックアップのためには、事前に規範の考慮要素を整理しておくことが必要です。問題文を読んだその場で使う事実だと見抜くものではありません。 たとえば、任意捜査は、①必要性、②緊急性、③相当性ですが、①はさらに、a犯罪の重大性、b嫌疑の程度、c手段の非代替性に別れ、②緊急性は時的な非代替性を書きます。 こんなもの、その場で思いつくことはできません。 逆に、こういう規範の先の考慮要素が分かっていると、雑多な事実のなかでどの要素をピックアップすべきか明確に分かるようになります。すなわち、この点での読み方のコツは、規範の先の考慮要素を事前に整理しておく、という話になります。

刑事訴訟法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆刑事訴訟法の事案処理方法 ◎事案処理方法のコツ ・刑訴の事案処理方法のポイントは、あてはめをどうするかを整理しておくことにある。何の論点かで迷うことはほぼない(訴因変更の要否と可否等はあるが)。 →しかし、どういうあてはめをするのかを整理しておかないと、他の受験生もそれなりに書けるので書き負けてしまう。結果、なかなかAを取れないという事態に。 ・整理の難しさは2パターン  ①論証の先のあてはめの考慮要素や事案の特殊性への対応が難しい。  →事前に整理しておく必要がある。  ②論証が難しいので規範がなにを言っているか分からないときがある。分かっていないと、そもそも何を当てはめれば良いのかとかの方向性が分からなくなる。  →論証が何を言っているのか理解しておく必要がある。 ※①②について古江頼隆先生の『事例演習刑事訴訟法』がかなりの水準で整理・解説してくれています。超オススメ本。 ※百選の事案を知っていないと処理が難しい場合がある。百選の中でも一番優先度が高いのが刑訴だと思います。 ◎あてはめの考慮要素の例 ・強制捜査  →意思制圧or意思に反し…嫌と言っているor認識不可能  →重要な権利…どう重要か  →権利制約性(※簡単でよい) ・任意捜査 →必要性 ≫①嫌疑の程度 ≫②犯罪の重大性 ≫③手段の非代替性…どう非代替か →緊急性…今回の機会を逃したら、証拠収集困難 →相当性…①必要性・緊急性の程度と②権利侵害の程度の利益衡量 ◎(補足)刑訴に事案処理の難問はあるか ・他の科目と違って、事案処理方法の難問はない。規範・あてはめ考慮要素を細かく理解していけばかなりの水準に到達する。  ※強制捜査・任意捜査の事例以外は下方で整理。 ・ちょっと難しいのは2点。 ①捜査行為の抜き出し。たまに迷う。 ②伝聞はいつも難しい。伝聞自体が応用問題的。解き方は別紙参照。

刑法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・範囲が多いので論点網羅がかなり難しい。論点1~2個くらいは不知のままで対処するまたは書き落としてもいいくらいのスタンスで行く。 →刑法は全論点は必ずどこかの一要件に落とし込める。逆に言えば、一個論点知らなくても、そこの項目の点数がとれないだけ。致命傷にはならない。 →ただ、行為選択や罪選択を間違えるとごそっと落としてしまう。一定の知識と事案処理方法はやはり必要。 ◎使用テキスト 【必須】 ・論証集 【可及的】 ・ロープラクティス →学説理解のため ・刑法事例演習教材 →論点網羅のため ・百選 →最新判例のチェック

刑法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎問題文への書き込み ・上記のとおり、実行行為に赤線を引く。 ・論点ごと・要件該当事実ごとにブロックで分けられる。緑で囲う。 ◎答案構成用紙の使い方 ・抜き出した行為を時系列に並べていく。  →答案を書くときは時系列でも結果に近い順でもどちらでもよい。パズル的に整理できたなら後は先に書くか後に書くかの違いにしかならない。 ・複数行為者がいる場合は横に並べる。  →正当防衛系が検討しやすくなる。  →共犯も検討しやすくなる(※別紙参照)

刑法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆刑法の事案処理方法 ◎大枠をきれいに整理する ・刑法は、大枠が一番大事。 <大枠① 行為の整理> ・行為の整理=どの行為を実行行為とするか、が大切 ・刑法は実行行為がすべての検討の起点になる。行為をうまく整理できないと、正しい検討ができない。 ※実行行為を選び、赤線を引くと事案が整理しやすい(後述「問題文の読み方」)。構成だけの問題ではない。 ・論点知識だけでは判断に迷うことがある。独自の思考方法が必要。 →考え方の基本は、「結果に近い行為から考える」。∵実行行為性や因果性が認められやすいから。 →難しいのは「一連の行為」を切るか切らないか。応用問題なので後述。 →行為の整理は、当然、共犯の検討にも影響する。 <大枠② 要件の整理> ・刑法はカチカチ書く。Cf.修習で書くことになる、検察官の終局処分起案と似た書き方になる。 <例> 1.検討する行為の適示 (1)要件→規範→あてはめ (2)要件→規範→あてはめ (3)… (4)結論(罪の成立・不成立) ・要件を完璧に整理する。フォルダの第一段階。 ・論点はかならずどこかの一要件に落とし込める。論証を完璧に整理しておき、その整理に沿って書く。 →共犯論と財産犯も整理が難しいが、整理しきっておく。別紙参照 ・問題文はブロックパズルになっている。要件にあてはめる事実がブロックごとに分けられる。そして、要件にパズルピースを入れ込んでく。 ・規範の内容、あてはめで適示すべきものは論証パターンを単に見るだけでは分からない。分析・理解が必要。この点でも論点整理をしておく意味がある。

民事訴訟法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)   ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・以上のとおり解き方はあるが、民訴は最も論点の網羅性が必要な科目。知っておかないとダメな問題を知らない場合は基本解けない。ただし、知らなくていい問題もあることに注意。線引きは論証集記載か否かが基本。 ◎使用テキスト ∇必須 ・論証集(※自分はアガルートを使っていました) ・条文(論証・答案で引用されている条文) ≫アガルート論証集利用者への補足 ・定義・趣旨等について →「一行問題」対策のページがなくなってしまったようです(いまどうなっているかは確認していません)。既判力とか定義・趣旨等を整理してくれていて良かったのですが…。基本事項の定義・趣旨等は自分で補充しておく必要がある。趣旨規範ハンドブックとかから抜粋しても良いかもしれません。 →補充する定義・趣旨は、概説書等の目次を参考にすると良いと思います。目次に「当事者能力」とか「訴えの変更」とか載っているわけですが、それらについての定義や要件を整理するという感じです。 ・ロープラクティスの「管轄」「当事者の確定」の問題 …アガルート論証集を使っている場合、管轄の論点、当事者の確定の学説が載っていないので、補充する。 ∇可及的 ・ロープラクティス →全体理解のため ・勅使河原和彦『読解 民事訴訟法』 →論証集で微妙に欠けている知識(ex.補助参加の利害関係のあてはめ等)を埋めてくれる ・判例百選

民事訴訟法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎段階・次元 事案処理方法でも述べましたが、民訴は段階・次元が重要です。そこで、それを切り分けるのに資する部分に赤線を引きます。具体的には ・請求(→訴訟物) ・訴えと判決(→訴訟の起点と終点) になります。 ◎訴訟物関連 ほかには、 ・実体法上の法律行為(→訴訟物の確定、要件事実の整理になる) には赤線を引きます。 ◎訴訟行為 そして、その他の訴訟行為は緑線です。訴訟行為重要じゃんという意見もあると思いますが、基本的にすべて訴訟行為なので、全部赤になってしまい、色分けの意味(問題文を整理する)がなくなってしまいますので。 ◎使える事実を探す ・憲民刑と商法は、問題文がほぼ完全にブロックパズルとなっており、使わない事実があまりありません。他方で、行政法・民訴・刑訴は、ストーリー的というか、使わない事実も掲載されています。 ・特に民訴は、理論・観念で考える部分が多く、網羅的に事実関係を使うことはなく、規範に当てはまる事実、論点に関わる事実をピックアップするという感じの読み方になります。

民事訴訟法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆民事訴訟法の事案処理方法の基礎 ◎聞かれている論点についての、訴訟の段階その他の次元の区別・理解 ▽訴訟の段階の区別・理解 ・段階をきちんと理解する。目次に目を通すとよい。 (具体例) ・訴訟提起⇒口頭弁論⇒証拠調べ⇒判決手続 ・請求⇒主張⇒証拠⇒判決 (注意点) ・複雑訴訟の場合も流れを把握。 ▽次元の区別・理解 ・たとえば、当事者能力と当事者適格は違う。そしてそれぞれの項目の論点の論証は、似ているようで全く違う。ex.代理人の論点の弁護士代理の原則は、当事者適格の論点の任意的訴訟担当には、趣旨を及ぼすしかない。 ・民訴は条文がなく、概念で整理されている。論パはその概念ごとにある。概念を比較したり、論パを分類したりしながら、知識を整理していくとよい。 ◎典型問題の解き方 ・類型としては、以下の2つがある。 ※私見で勝手に分類していますが、書き方が違う点に着目した分類です。 ∇類型①:定義型 Ex.処分権主義、弁論主義、既判力 ・定義 →原則規範(定義の敷衍) →もっとも、趣旨 →例外規範 →あてはめ(原則結論確認) →あてはめ(本件結論確認) ∇類型②:規範型 Ex.管轄、当事者の確定、訴えの利益、複数当事者訴訟 ・条文あるバージョン →条文 →趣旨 →規範 →あてはめ ・条文ないバージョン →問題提起 →規範定立理由 →規範 →あてはめ ※定義とかをいじるのではなく、規範をさっと立てて論じる形式になっている。条文に依拠せず規範を立てることを理解しておく。

会社法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識と使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・論証集に載っている論証は少ない。ただ、論点網羅に走るよりも、後述の未知の問題の解き方を練習した方がいい。 (補足)条文について ・民法と違って条文がダイレクトに聞かれることはあまりなく、基本的に論点とセット。しかし、たくさんの条文を引用しないとダメなので、引くスピードが要求される。ざっくり場所把握で条文操作のスピードを上げておく。 ※ざっくり場所把握のやり方 ・普段から論証・答案に出てきた条文に赤丸をつけておく。 ・どこかのタイミングで通読 →目次を眺める。 →見出しを見ながらざっと最後まで目を通す。赤丸がついているところは少し詳し目に見る。 ◎使用テキスト 【必須】 ・論証集 ・条文(論証集の論証・過去問の答案で引用されている条文) 【可及的】 ・ロープラクティス →問題に出てくる条文網羅のため ex.一般承継人の株式譲渡、事後設立 →予備R05で本書に載っているマイナー論点が出ました。種本とは言わずとも、それに近い存在になりつつあるのではないかなと思います。 ・判例百選 →本試験のみ。本試験はCランク判例が出る

会社法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎法律行為への着目 ・会社法も法的効果の積み重ねで結論が出る。法律行為(決議、取締役の契約等)に赤線を引くと事案が整理しやすい。 →会社法は、時期によって訴訟が異なるので意識する。差止め→取消しが基本。他には、決議の前後、株式発行の前後など。これは法律行為の前後になるので、赤線を引くと自然と整理できる。赤線を引きつつ、意識するとよい。 ◎組織関係 ・また、組織関係(公開・非公開、株主、代取等)は、議論の基盤になるので赤線を引く。問題文の左の隙間に簡単に書き込むとよい。 ◎瑕疵を探す ・事案処理方法で、会社法で書くべき4項目の話をしましたが、この帰結として、問題文では瑕疵を探すことになります。要はルール違反ですが、基本的に条文に反する行為が瑕疵になります。招集通知出さないとかですね。 ◎事実関係の書かれ方 ・憲民刑と商法は、問題文がほぼ完全にブロックパズルとなっており、使わない事実があまりありません。商法は民法とほぼ同じで、ピックアップすべき事実が端的に書かれています。上記の瑕疵を探す話と合わせると、瑕疵をピックアップすることになります。

会社法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆会社法の事案処理方法の基礎 ◎会社法の4項目 ・会社法で聞かれることは4つしかない。答案もこの4つで書く。 ①訴訟要件 ②瑕疵(実体上・手続上)  →瑕疵の治癒(総会通知の瑕疵の後の総株主の参加等)の論点は瑕疵について論じた後に書く。 ③有効無効  →相対無効等の規範、役会決議無効の規範、等々  →831条1項各号、裁量棄却(831条2項)もここに位置づけ   ※取消しの裁量棄却はこの次元の問題と整理する。 ④責任 (補足コメント) ・瑕疵の認定⇒有効無効判断の規範⇒あてはめ、という流れを理解する。 ・有効無効は瑕疵をまとめて、裁量棄却は個別の瑕疵ごとに検討。  →後者は文献や答案で確認はとれていないが、裁判例では個別に判断するものが見受けられる。瑕疵があればそれだけで取消事由にあたるから合理的ではないか。二つの瑕疵が相まって決議に影響を及ぼすと認められるという場合にどう検討すべきかは不明だが、こと司法試験においてはその部分の検討を求められる可能性は低いだろう。 ・責任の時は義務の認定を忘れずに。 ◎瑕疵と無効(・取消し)の検討ルール(基本):何が無効か、何が瑕疵か ※以下、別にこう考えよと明確に指示している文献があるわけではない。ただ、このルールを軸にして考えると、経験上、再現答案や論証集がすっきり理解できる。参考にしていただければと思います。 ・有効無効の検討対象は、基本的に法律行為(各種決議・取締役の契約・株式発行等) ・各種手続・要件は、法律行為にいたるために必要とされるステップ →法律行為を軸に手続きを整理することができる。ステップでの法律違反が瑕疵となる。 ⇒有効無効で検討しているのは法律行為、瑕疵を検討しているのは手続・要件=当該法律行為に必要な手続・要件の瑕疵にもとづいて当該法律行為の有効無効を考える。  …(補足)後述の問題文の読み方と合致する。 ・では、下記の例のように法律行為が連続している場合にはどう検討すれば良いか。論証でも、応用問題でもこういう例がある。→後述 ◎どの事例でどの論点を出すのか ・会社法

民法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・論点知識は多くて網羅が難しいが、条文の文言だけから気付くのは実際のところ難しい。時間をかけざるを得ない。 (補足)条文について ・条文がダイレクトに聞かれることがある。ざっくりと場所を把握しておき、現場で条文操作できるようにしておく。 ≫ざっくり場所把握のやり方 ・普段から論証・答案に出てきた条文に赤丸をつけておく。 ・どこかのタイミングで通読 →目次を眺める。 →見出しを見ながらざっと最後まで目を通す。赤丸がついているところは少し詳し目に見る。 ◎使用テキスト ・予備校論証集 →百選は判旨だけでいいが、判旨もだいたい論証集にまとまっている。 →アガルート論証集が論点の網羅性が極めて高いのでおすすめ。 ・条文 →上記のとおりの読み方で通読。

民法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題の読み方 ◎軸は所有権と法律行為 ・民法は法的効果の積み重ねで結論が出る。その積み重ねをたどるために、所有権・法律行為に赤線を引き、法律行為に準じるもの(※準法律行為ではありません。弁済とか対抗要件具備とかです)に赤の点線を引くと、事案が整理しやすい。 →この法律行為の赤線を図示すれば法律関係図になるのを分かってもらえるでしょうか。私はこの法律関係図に加えて、請求を「⇒」で書いていました。 →また、問題文の文章の隣に法律関係を書いていました。答案構成用紙がもったいないのと、問題文のどこに何が書いてあるのか分かりやすくするためです。こう書くとたとえば第一売買と第二売買が離れてしまいますが、第二売買のところで第一売買の法律関係図も書き込めば見やすくなります。 ◎パズル→サラサラ ・民法はサラサラ書く。要件に当てはまる事実が端的に書かれている。パズルになっている。端的に拾えるように書かれている。答案を書くときもサラサラと端的に事実を拾い、要件にあてはめていく。 (補足) ・書くときは、争点(論点)を意識して厚く書く(といってもサラサラとだが)。争点となっていない要件は簡単な言及で良い。ただし書くことは忘れずに。全要件検討が基本のルール。

民法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)  ◆民法の事案処理方法の基礎 ◎請求権パターンに沿って考える 1.請求権の特定 ①誰が誰に対して ②何を請求して ③何を根拠にするか 物権:所有権、用益物権、担保物権 ※所有権のときは、時効と即時取得を忘れがち    ※先取特権を忘れがち 債権:契約、事務管理、不当利得、不法行為、(債権の拡張) 2.権利発生は認められるか:権利発生根拠の要件充足の検討 3.権利発生根拠を第三者に主張できるか:対抗問題 …要件事実的には抗弁の一種。事案処理としては、抗弁のなかでも第一に検討するということとなる。そもそも主張できなければそれで終わるので。 ・物権は絶対効があるから原則誰にでも主張できる。 →しかし、例外的に物権変動についての「第三者」(民法177,178)に対しては登記・引渡しが対抗要件として必要。 ・債権は相対効しかないから原則第三者に主張できない。 →しかし、それをふまえて第三者に主張できるかという論点が生じる。 ⇒条文に明示されている場合とされていない場合がある。詳しくは後述。 4.抗弁(対抗要件の抗弁以外) (1)ポイント ・各請求と抗弁を整理する必要がある。 ・抗弁も、実体法上・対抗要件上の問題がある。 (2)注意点 ・即時取得を忘れがち

行政法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・典型論点(処分性、原告適格、裁量)以外も出る。たとえば、違法性の承継や、手続違法なんかも普通に出る。論点の数はそんなに多くないので、論証集に載っている論点くらいは網羅しておく。 ・上記の未知の問題への対処法に拠ってなんとか粘れるが、それだけだと最近は書き負ける(みんな過去問を踏まえて典型以外も書けるようになっている)。 ・整理には、アガルート論証集(非市販)に載っている表が便利。 ◎使用テキスト 【必須】 ・論証集 ・条文…よく使う条文は引けるようになっておく。 【可及的】 ・事例研究行政法 …いきなり過去問にいくのはキツイと感じた場合。解き方のセオリーはひと通り身につく。 …事例研究に載ってはいるが、めちゃくちゃ細かいなという論点がある。それを拾うという目的で読むのは優先順位低いかなとは思う。 ・百選 …自分は百選のうち予備校テキストに掲載されている判例のみつぶした。東京12チャンネルは当たった。ただ、優先順位は低いだろう。 …令和3年以降の傾向を踏まえると全体を一読くらいはした方がいいかもしれない…なんて思わないように。優先順位は低いです。判例への言及が求められている問題への対応方法は、後述の「過去問のクセ」の項目を参照。

行政法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎読む順番 ・設問⇒掲載条文⇒事案(⇒誘導※本試験の場合)の流れで読む。 →信じられないかもしれませんが、掲載条文は単独で読んでも理解できます(立法者が個別の事案に関係なく作成しているのだから当たり前)。そして、先に全体に目を通しておいた方が問題で使う条文の見落としが防げるのでメリットが大きい。 →誘導⇒事案の人もいるが、自分は事案を読まないとさすがに誘導を理解できなかったので、事案⇒誘導で読んでいた。 ◎掲載条文の読み方 ∇行政個別法の仕組みとは何か? ・仕組みとはどういうふうに行政個別法が設計されているのかということです。各行政法規に個性がありますが、共通する性質として、「行政行為の連続」「幹と枝葉(根拠規範と規制規範)」の2点があります。 ≫行政行為の連続 ・行政個別法というのは、行政行為(の根拠条文)が並べられている。基本的に時系列。  Ex.公募→選定→許可→許可取消(本試験R3) ≫根拠・規制(要件) ・その他の条文は、並べられている行政行為の要件が書かれているに過ぎない。 …条文には、組織規範、根拠規範、規制規範がある。根拠規範は行政行為を行う根拠を定めたもの(法律による行政の原理から来る)。規制規範は要件条文のこと。 →区別自体が大事というより、根拠条文と規制(要件)条文とは違うものだと理解することが大事。幹と枝葉の関係。幹(行政行為の根拠条文)の並びを把握することを意識することで読みやすくなる。 ※ただし、二つの要素が一つの条文に含まれていることはあることに注意。Ex.許可の根拠条文だけど、許可条件も書かれているような場合 ≫他の条文 ・ほかには、効果が定められた条文もある。 ・また、行政の行為が、規制的に定められていることがある。たとえば、諮問の義務等。  →後述するとおり、幹と枝葉の整理のため、私は行政の行為(行政行為ではない。自分は行政のアクションと名付けていました)として、幹の一部と整理していました。  →行為なの規制なのという区別自体はあまり重要ではないです。幹の並び=行政(の)行為

行政法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)  ◆行政法の事案処理方法の基本 ◎行政法の3要素 ・行政法で聞かれるのは3つしかない。その3つが細分化している。 ①訴訟要件  →処分性  →原告適格  →訴えの利益  →出訴期間 ②本案勝訴要件=違法性  →実体違法   ⇒解釈違法   ⇒裁量逸脱濫用  →手続違法   ⇒解釈違法  (⇒裁量逸脱濫用※問題として見たことない) ③責任  →損失補償  →国賠 ◎問題の解き方のスタンス ・以上が基本フォルダ。基本フォルダをどんどん精密化・細分化するだけ。 →いいかえれば、行政法は、民事系と違って、「全く見たことない問題」はでない。論証集に載っている論証は全部整理出来る。(現場思考で解く)百選判例も必ずこのフォルダのどれかに入る。そして、現場思考問題は、後述のとおり解き方がある。 ・以上の細分化したフォルダさえ作れば、あとは設問・事実・誘導をフォルダに入れていくだけになる。半自動化する。ただし、合理的整理は必要なので、完全に自動化はしない。 →いいかえれば、設問・事実・誘導はすべてこの3要素に落とし込めるということ。後述の「過去問のクセ」で同旨を説明しています。 ◎補足:検討対象としての行政行為 ・この行政行為は違法なのかどうか(②)、この行政行為の違法性を問題とするため裁判ができるか(①)、この行政行為の違法性について責任を問えないか(カネは取れないか)(③)。要はすべて行政行為を対象とした検討。 →行政法は行政行為についての法学。後述のとおり、問題を読むにも、条文を読むにも、行政行為を軸にする。

憲法の論点知識へのスタンスと使用テキスト

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆論点知識へのスタンスと使用テキスト ◎論点知識へのスタンス ・とりあえず三段階審査・それ以外の書き方も含めて枠だけ知っておく(本レジュメと別紙等、配布する資料で網羅しています)。枠知識以外の判例知識はキーワード集、アイデア集にすぎない。 ◎使用テキスト ∇必須ではないが、見てはおく ・予備校論証集 →要は判例のまとめです。キーワード集、論述のアイディア集として使ってください。 ∇可及的 ・憲法ガール →憲法ガールができる限りレベル!?と驚くと思いますが、あの本の白眉は検討の枠をしっかり整理し、それに沿って答案を実際に作成している点だと思うんですよね。それ以外のなされている議論の中身はやや高度です。三段階審査の使い方の一般論等の枠の話はレジュメで説明していますので、可及的に整理しています。 ・百選人権部分 →権利を導くためのキーワードを網羅するためです。

憲法の問題文の読み方

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆問題文の読み方 ◎問題文の読み方の指針 ・憲法はネチネチ書く。「確かに、しかし」。悩みを見せるのがいいし、実際に悩ませるようになっている。 ・ただ、悩みっぱなしでは書けない。結論を決めたら、「確かに、しかし」で整理すればいいと割り切る。 ◎制約の抜出し ・立法行為・その他行政行為に赤線を引く。 →このとき、本件具体的自由も考えることになります。詳しくは下記。 ◎合憲方向への事実、違憲方向への事実の割振り (※難しいけど頑張って) ・ネチネチ書くには、反対方向の事実も含めて問題文の事実を網羅的に拾うのがよい。 ・問題文記載の事実で合憲ないし違憲の考慮要素として使えそうなものに+-を振っていく(緑線で書く。その事実のブロックを緑線で囲ったりする)。どっちがどっちでもいいが、自分は+を被告(合憲主張側)有利な事情、-を原告(違憲主張側)有利な事情に振っていた。 ・両方に使える事情、どっちか分からない事情は+-と両方書いていた。 ・振った事実ごとに番号をつける。たとえば、「+3」「-23」とか。 ◎答案構成への落とし込み ・そして、答案構成で枠組みに沿って事実を整理していく(これは保護範囲に使う事実だなとか)。これで事実を落とすことがなくなる。 ・原告側で書く場合、「確かに+13、しかし-14」、被告側で書く場合「確かに-11、しかし+15」と整理すれば、スムーズに書ける。 ◎全ての事実が使える ・憲民刑と商法は、問題文がほぼ完全にブロックパズルとなっており、使わない事実があまりありません。たとえば、憲法の問題文の最初には問題となる法律ができるまでの過程がなんやかんやと書かれていますが、あれは立法事実として目的手段審査の目的部分で使います。こういう感じで、ほぼすべての事実を使うことになります。

憲法の事案処理方法の基礎

(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。) ◆憲法の事案処理方法の基礎 ◎法令による防御権侵害の場合 ・三段階審査論をベースに各項目でなにを検討するかを整理する必要がある。自分なりにまとめると以下の感じになる。 ※法令による防御権侵害以外は別紙で説明 1.見出し ・まず、「①法~~条が、②本件の~~という具体的自由を制約するので、③憲法~~条に反し、④違憲とならないか検討する」、と頭出し。 2.保護範囲 ※自分は「人権」と書いていた。保護範囲と書くなという説もあったので。どちらでもいい気がしますが。 ∇考え方 ・条文から解釈して中間項的自由を導き出す。 →本件での具体的自由が、導き出した中間項的自由に該当することを述べる。 →本件での具体的自由が、上記条文によって保障されることを述べる。 ∇具体例  ex.H23本試験 …地図情報等を含む事実の提供の自由∵知る権利に資する  →インターネット上で地図検索システムを提供する自由 ex. R3本試験 …匿名表現の自由∵思想の自由市場の活性化 →マスクをしてデモをする自由 ∇書き方一般 ・中間項的自由の導き出しは、論証や条文の趣旨を使うことが多いです。要は論点になっている。 ・本件具体的自由から中間項的自由につなげるときは、「そして、本件具体的事由は抽象的自由の一内容である」くらいになるのが多いです。ただ、理由を付けることもあります。 ∇注意点 ・中間項の話は、趣旨実感やA再現答案を見て、要はこういうことだなと思って事案処理方法をマニュアル化するという観点から私が独自に整理したものです。「中間項」というワードを使っている本とかはないです。 ・文言は何でも何でもいいんですが、二段階設定すると書きやすくなるという観点から、こういう整理をしているだけです。別に二段階にすることは必須ではありません。要は、本件の特殊性を踏まえた自由を設定して、それを理由付けした上で憲法の条文とつなげる作業ですから。 3.制約 ・本件具体的自由を制約している条文を摘示する。 4.違憲審査基準 ∇当該権利の性質 ※下記の趣旨との合致にまとめて書くことでここで