憲法の事案処理方法の基礎
(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)
◆憲法の事案処理方法の基礎
◎法令による防御権侵害の場合
・三段階審査論をベースに各項目でなにを検討するかを整理する必要がある。自分なりにまとめると以下の感じになる。
※法令による防御権侵害以外は別紙で説明
1.見出し
・まず、「①法~~条が、②本件の~~という具体的自由を制約するので、③憲法~~条に反し、④違憲とならないか検討する」、と頭出し。
2.保護範囲
※自分は「人権」と書いていた。保護範囲と書くなという説もあったので。どちらでもいい気がしますが。
∇考え方
・条文から解釈して中間項的自由を導き出す。
→本件での具体的自由が、導き出した中間項的自由に該当することを述べる。
→本件での具体的自由が、上記条文によって保障されることを述べる。
∇具体例
ex.H23本試験
…地図情報等を含む事実の提供の自由∵知る権利に資する
→インターネット上で地図検索システムを提供する自由
ex. R3本試験
…匿名表現の自由∵思想の自由市場の活性化
→マスクをしてデモをする自由
∇書き方一般
・中間項的自由の導き出しは、論証や条文の趣旨を使うことが多いです。要は論点になっている。
・本件具体的自由から中間項的自由につなげるときは、「そして、本件具体的事由は抽象的自由の一内容である」くらいになるのが多いです。ただ、理由を付けることもあります。
∇注意点
・中間項の話は、趣旨実感やA再現答案を見て、要はこういうことだなと思って事案処理方法をマニュアル化するという観点から私が独自に整理したものです。「中間項」というワードを使っている本とかはないです。
・文言は何でも何でもいいんですが、二段階設定すると書きやすくなるという観点から、こういう整理をしているだけです。別に二段階にすることは必須ではありません。要は、本件の特殊性を踏まえた自由を設定して、それを理由付けした上で憲法の条文とつなげる作業ですから。
3.制約
・本件具体的自由を制約している条文を摘示する。
4.違憲審査基準
∇当該権利の性質
※下記の趣旨との合致にまとめて書くことでここで書くのは飛ばしてもよい。
∇憲法の条文の趣旨との合致
・当該権利を定めた条文の趣旨を述べ、当該趣旨に本件具体的自由が合致するので、本件具体的自由が重要であることを述べる。
∇制約態様
・具体的事実を単に持ってくるのではなく(刑罰だから制約が強いとかではなく)、類型論(内容規制か内容中立規制か等)にあてはめる。
※類型論の詳細は別紙
∇違憲審査基準の定立
・基準はなんでもいい。どの基準でも下記の手段の3要素は検討する。
・ただし、基準の相場間、結論との関係は意識する。
※講学上の整理の詳細は別紙。
5.具体的検討
⑴ 目的
・まず第一に使うのは、問題文に記載の立法事実。1条ではない。1条は補助として使う。
・ちなみに、1条に直接目的と終局目的の二つがある場合、使うのは直接目的の方。終局目的だと議論が抽象的になる。また、直接目的を攻撃できれば、それを前提にした終局目的も成り立たなくなるという関係にある。
・生の事実だけで重要であるとは言えない。身体生命の利益、人格権としての利益等々、法的評価をきちんと入れる。
・重要性・正当性の否定の仕方としては、「根拠が抽象的」というものがある。
⑵ 手段
①合理性
…目的にとって意味あるか否か。
…この方法ではかえって目的を達成できないとかを書くのはここ。
②必要性
…より制限的でないほかの手段を出すのはここ。
…LRAがないとする場合、「~という手段も考えられるが、それでは~~という理由から目的を達成できない」と否定するためのLRAを挙げると書きやすい。
③相当性
…①②以外の要素を入れる。
…比較衡量の観点でがっつり書くのもよいが過度であることを指摘するだけでもよい。