会社法の事案処理方法の基礎
(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)
◆会社法の事案処理方法の基礎
◎会社法の4項目
・会社法で聞かれることは4つしかない。答案もこの4つで書く。
①訴訟要件
②瑕疵(実体上・手続上)
→瑕疵の治癒(総会通知の瑕疵の後の総株主の参加等)の論点は瑕疵について論じた後に書く。
③有効無効
→相対無効等の規範、役会決議無効の規範、等々
→831条1項各号、裁量棄却(831条2項)もここに位置づけ
※取消しの裁量棄却はこの次元の問題と整理する。
④責任
(補足コメント)
・瑕疵の認定⇒有効無効判断の規範⇒あてはめ、という流れを理解する。
・有効無効は瑕疵をまとめて、裁量棄却は個別の瑕疵ごとに検討。
→後者は文献や答案で確認はとれていないが、裁判例では個別に判断するものが見受けられる。瑕疵があればそれだけで取消事由にあたるから合理的ではないか。二つの瑕疵が相まって決議に影響を及ぼすと認められるという場合にどう検討すべきかは不明だが、こと司法試験においてはその部分の検討を求められる可能性は低いだろう。
・責任の時は義務の認定を忘れずに。
◎瑕疵と無効(・取消し)の検討ルール(基本):何が無効か、何が瑕疵か
※以下、別にこう考えよと明確に指示している文献があるわけではない。ただ、このルールを軸にして考えると、経験上、再現答案や論証集がすっきり理解できる。参考にしていただければと思います。
・有効無効の検討対象は、基本的に法律行為(各種決議・取締役の契約・株式発行等)
・各種手続・要件は、法律行為にいたるために必要とされるステップ
→法律行為を軸に手続きを整理することができる。ステップでの法律違反が瑕疵となる。
⇒有効無効で検討しているのは法律行為、瑕疵を検討しているのは手続・要件=当該法律行為に必要な手続・要件の瑕疵にもとづいて当該法律行為の有効無効を考える。
…(補足)後述の問題文の読み方と合致する。
・では、下記の例のように法律行為が連続している場合にはどう検討すれば良いか。論証でも、応用問題でもこういう例がある。→後述
◎どの事例でどの論点を出すのか
・会社法は、どのときにどの論点を使うのが分かりづらい。それは、会社法は論点の体系的整理が難しいから。
・整理のコツ①
→民法の請求権パターンのような議論の始まりがあまり体系化されていない。これをある程度体系化する。
→訴訟類型を意識するのがおすすめ。訴訟類型に関しては別紙参照(アガルート論証集(非市販のもの)に掲載されている論点整理表と合わせると便利なはずです。)
・整理のコツ②
→条文と講学上の概念が前後している(たとえば、資金調達)。これをある程度把握しておく。
→講学上の概念(目次レベルでよい)に沿って・前提に、条文の位置を理解しておくとよい。
・ただし、問題を解くにあたっては、あくまで参考程度に。
→思考方法としては、「あの論点に使う事実があるな」「あの条文の手続き守ってないな」とか、論点知識・条文知識から考える方がスムーズにいく。
→コツ①の訴訟類型から考えるというのをがっちり固めすぎると、問題に逆にスムーズに対応できなくなることもあるので、あくまで知識整理の参考程度で。
→問題を解くにあたっては、あくまで参考としてつかってください。
→むしろ、論点知識の理解(暗記を促進する)の方に役立つと思います。たとえば、何のときに使う論点なのか分からないと理解ができないので、整理が役に立つと思います。