行政法の問題文の読み方
(※以下、授業で使っているレジュメの抜粋です。全科目共通の項目として「事案処理方法の基礎」「問題文の読み方」「論点知識へのスタンスと使用テキスト」「応用問題の事案処理方法」「過去問のクセ」の5項目があります。前三者はブログに載せています。)
◆問題文の読み方
◎読む順番
・設問⇒掲載条文⇒事案(⇒誘導※本試験の場合)の流れで読む。
→信じられないかもしれませんが、掲載条文は単独で読んでも理解できます(立法者が個別の事案に関係なく作成しているのだから当たり前)。そして、先に全体に目を通しておいた方が問題で使う条文の見落としが防げるのでメリットが大きい。
→誘導⇒事案の人もいるが、自分は事案を読まないとさすがに誘導を理解できなかったので、事案⇒誘導で読んでいた。
◎掲載条文の読み方
∇行政個別法の仕組みとは何か?
・仕組みとはどういうふうに行政個別法が設計されているのかということです。各行政法規に個性がありますが、共通する性質として、「行政行為の連続」「幹と枝葉(根拠規範と規制規範)」の2点があります。
≫行政行為の連続
・行政個別法というのは、行政行為(の根拠条文)が並べられている。基本的に時系列。
Ex.公募→選定→許可→許可取消(本試験R3)
≫根拠・規制(要件)
・その他の条文は、並べられている行政行為の要件が書かれているに過ぎない。
…条文には、組織規範、根拠規範、規制規範がある。根拠規範は行政行為を行う根拠を定めたもの(法律による行政の原理から来る)。規制規範は要件条文のこと。
→区別自体が大事というより、根拠条文と規制(要件)条文とは違うものだと理解することが大事。幹と枝葉の関係。幹(行政行為の根拠条文)の並びを把握することを意識することで読みやすくなる。
※ただし、二つの要素が一つの条文に含まれていることはあることに注意。Ex.許可の根拠条文だけど、許可条件も書かれているような場合
≫他の条文
・ほかには、効果が定められた条文もある。
・また、行政の行為が、規制的に定められていることがある。たとえば、諮問の義務等。
→後述するとおり、幹と枝葉の整理のため、私は行政の行為(行政行為ではない。自分は行政のアクションと名付けていました)として、幹の一部と整理していました。
→行為なの規制なのという区別自体はあまり重要ではないです。幹の並び=行政(の)行為の流れを把握するための考えであることは認識しておいてください。
∇具体的読み方
1.各条の見出しにマーカーを引く。
…条文の中身を見なくても見出しだけで各条の中身の大体の内容が分かる
2.本件で問題になる処分の根拠条文を探す。
…最初のうちはこれをやるとよい。たとえば許可の根拠条文を探すとか。慣れると下記のように頭から読んで行政行為の並びを把握した方が個別法の理解が早くなる。
3.行政行為の根拠条文を探しながら頭から読み、仕組みを把握する。
…上述「・各条の見出しにマーカーを引く。」のとおり、マーカーを引いた見出しを読むと、行政行為が書かれているのか、規制条文なのか、だいたいの予測がつきます。条文の中身を必ず見る必要はないということです。
…上述「≫他の条文」のとおり、私はこのとき、規制的に定められた行政の行為もピックアップしていました。その方が仕組みの流れを理解しやすいと思ったからです。
4.以上でだいたいの把握はできる。枝葉(規制条文)の部分は問題文との関係で再度見直すとかでよい。
◎事案の読み方
∇行政行為への着目
・事案を読むときは、行政行為に赤線を引く。
・行政の行為の方は、赤でも緑でも自由です。私は幹として整理していたので、赤で整理していました。
∇使える事実を探す
・憲民刑と商法は、問題文がほぼ完全にブロックパズルとなっており、使わない事実があまりありません。他方で、行政法・民訴・刑訴は、ストーリー的というか、使わない事実も掲載されています。ただ、使える部分はブロックパズル的、「この部分」と特定できるようになっています。したがって、使える事実のブロックを探すことになります。