「問題の解き方」の別の角度からの解説
前々回で受験テクニックについて解説したが、(1)問題の解き方の解説が論証をどう使うかに終始してしまっていたと思う。ただ、問題の解き方というのはもう少し応用性の高いものである。以下、その観点から書く。
◎問題発見能力=問題の解き方+知識
某先生がおっしゃっていたのだが、司法試験には体系的知識・問題発見能力・問題解決能力の三つが必要である。問題を解くにあたって一番重要なのは、問題発見能力である。
問題発見能力とは、「解き方の基礎」を踏まえて、自分の知識と照らし合わせて、何が聞かれているのかを把握する能力である。
解き方の基礎は不可欠だが、それだけでは問題は解けない。というのも、試験に出るような論点は既存の法学の議論があって出てくるものなので、知識に照らし合わせることなくひねり出すのは基本的には不可能だからだ。
そういうわけで、解き方の基礎というのは、問題への基礎的な向き合い方、および知識の整理方法とでも位置づけられるとなる。これは前回の解説を裏から説明したようなものになっている。
◎具体例
各科目それぞれ解き方はあるのだが、総則となるのはもちろん三段論法だ。使える条文を見つけ出して、解釈して規範を立てて、事実を評価して規範にあてはめるという流れが法学の基本思考なので、当然といえば当然である。
しかし、それでは抽象的で、とてもじゃないが本試験の問題は解けない。各科目で具体化が必要だ。民法については前回例示したので、今回は会社法の解き方の一部について例示しようと思う。
会社法というのは4つのことしか聞かれない。それは、
・訴訟要件
・瑕疵
・有効無効=瑕疵の重大性
・責任
である。この4つに沿って問題を分析するし、答案も書くようになっている。そして、論証もすべてこの4つに整理できるようになっている。
これは会社法の解き方の一部であるが、こういう形で、各科目で問題の解き方(事案処理方法)がある。そこで、このページ以降、順次アップしていこうと思う。