条文の勉強の仕方

◎司法試験における条文の位置づけ

・論点は条文から出てくるし、論点を書くときは基本的に条文を引用する必要があります。
→条文を自在に引けて、解釈できるようになる必要があるということです。
→じゃあ、自在に引けて、解釈出来るようにするにはどう勉強すればいいのか、という方向で勉強方法を検討することになります。

(余談)
他の資格試験とかだと、テキストに条文が引用されていなかったりします。条文を「引いて」「解釈する」というのは割と難易度が高いことなんです。最初はできなくてもそういうもんだな位で勉強を続けてください。分からないながらもやっていればいずれ出来ます。

◎勉強方法①――条文文言の確認

・論文答案と論証集に出てきた既知の論点が条文だとどの文言に当たるのか確認するという勉強です。一般に言われる勉強法ですね。ぼんやりと理解しがちですが、論点というのは、条文の「この文言」の解釈という感じで、厳密に問題となる部分を特定出来ます。

・ただ、これ逐一やっていると無限に時間が掛かります。たとえば、会社法インプットテキストに載っている条文を逐一確認した場合をイメージしてください。
→そこで、問題や、論証に引用されている条文に限定してチェックするという方法を採ってみてください。作業量が減るのは当然ですが、なぜこの範囲に限定するかというと、答案や論証に載っているということは、実際に試験で引いて使えないとだめな条文ということだからです。
→これ以外の条文は、なんとなく気になったら引くというレベルで良いです。

◎勉強方法②――素読通読

∇素読の方法

・「素読」で「条文の位置」を把握しておくと試験本番での条文操作能力が極めて高まります。実際のやり方は以下のとおりです。

(1)まずは、日ごろから論文答案と論証集に出てきた条文に赤、短答の解説に出てきた条文に緑で印をつける。

(2)ある程度の時期で、条文の「見出し」を中心に素読してください。見出しというのは、条文の前についているタイトルですね。たとえば民法1条なら「(基本原則)」との記載です。ざっと目を通すだけでいいです。見出しを見るだけで大体のイメージがつきます。分からなくても読みすすめるのが大切です。なぜなら、どういう条文がどのあたりにあるとか位置を把握することが目的であって、詳細な理解を目的としていないからです。

(3)見出し以外の条文本文は、赤点・緑点がついている条文は少し詳しめに、ついていないものは流し読み程度に読んでみてください。読み終わったとき、条文の地図が頭にぼんやりできていて、実際に問題を解いてみても、条文操作能力の高まりを実感出来るはずです。

∇条文の目次

・なお、上記通読時も含めて、条文の目次は常に意識するとよいです。私は、普段の勉強では、ある程度の時期までは、条文を引用するときは条番が分かっているときでも、まずは目次をみてどこの項目かを確認していました。これで条文全体のイメージがつき、操作能力がより高まります。

∇条文の設計思想

・さらにもう一個だけ言うと、この読み方をしているときは、条文の「設計思想」みたいなのを意識してみてください。民法は人→意思表示→物権行為→債権行為→親族相続という感じで流れており、その通りに教えられるのでイメージしやすいと思います。そして、民法以外にもこういった設計思想があります。会社法は会社が出来てから無くなるまでの順に条文が置かれています。こういった感じで、各法律で、合理的に条文が整理されて配置されているのです。これが分かると、よりいっそう条文の地図が頭に出来やすくなります。

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