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勾留阻止の経験

所属事務所のHPに書いたコラムの転載です。 3件ほど勾留阻止の経験を得たので、取り組んだ内容を共有するのもなんとなく意義があるかなと思ったので、転載してみました。 (一応、割合的にちょっと特殊な経験だと思うのですが、実際はどうなんでしょう。刑事をたくさんやっているわけではないので、あまりよく分からないのですが…) タイトル:勾留阻止に関するご報告 2024年10月から2025年10月までの約1年間において、受任した4件(当番・国選・私選の各種含む)で勾留阻止に取り組み、3件で成功しました(勾留請求却下2件、勾留取消1件)。 勾留阻止率は約4%程度であり、ある程度高い割合だと思います。以下では、勾留阻止のために行った具体的な取り組みについて報告・解説いたします。 1.勾留阻止の基本的な考え方  逮捕・勾留は、形式上は「逃亡・証拠隠滅のおそれ」がある場合に行われるものとされています。  しかし実際には、自白事件であっても、検察官による最終処分(略式起訴や不起訴処分)が決定するまで勾留が続くことが少なくありません。  したがって、勾留を阻止するためには「逃亡・証拠隠滅のおそれがない」ことを、具体的な事情をもって主張・立証していくことが重要になります。 2.具体的な取組内容 (1)身元引受人の確保  身元引受人の存在は、勾留阻止の基本条件といえます。身元引受人がいることは当たり前で、いない場合には、勾留阻止は基本的に難しいといえます。  このため、ご家族の協力を得ることが重要です。しかし、当初期待した親族から協力を得られないことも少なくありません。たとえば、配偶者の協力が得られないこともあります。その際には、父母や、成人した子など、他の親族に協力をお願いすることになります。  身元引受を依頼する際には、勾留制度の仕組みや協力の意味について、懇切丁寧に説明することが大切です。 (2)示談交渉の進展  示談が成立している場合、被害の回復が図られているとして不起訴の可能性が高まり、釈放が認められやすくなります。  また、示談が未成立でも、示談交渉が具体的に進んでいることを示すことにも意味があります。実際に、3件のうち2件では、示談は成立していなくても、具体的に示談交渉を進めていることを裁判官に伝えた結果、釈放が認められた事例もありました。 (3)裁判官との面接  裁判官に対しては...